2017.11.21

「医師が指摘する「カラコン」の危なさ」

今、若い女性を中心に、爆発的な広がりをみせているカラーコンタクトレンズ(以下、カラコン)使用者の多くが、「目元を華やかにみせたい」「外国人のように演出したい」など“おしゃれ”目的だが、洋服で着飾るのとはわけが違う。目の粘膜という繊細な場所に直接装着するゆえ、危険が潜んでいる。

カラコンによる障害の多くは、不適切なレンズケアなどにより、黒目部分の角膜に傷がつく角膜上皮障害。傷を放っておけば、上皮が欠損してより深い層に病巣が進み、角膜潰瘍に至ることもある。進行すれば、深刻な視力低下のみならず、黒目の一部に白い濁りが生じかねない。その多くが、量販店やインターネットなどで、眼科医の処方なしで買える海外製のカラコンが原因。若年層は目の健康への意識が低く、購入の際に眼科医を受診していない人が多い。
「例えば使い捨てのワンデータイプを数日間使い続けたり、レンズを装着したまま寝たりなど、使用期限を守れていないケースが極めて多い。さらに適切な洗浄や消毒の仕方を知らないことで、レンズやケースが不衛生な状態が続き、深刻な目のトラブルにつながる例も少なくない。

国民生活センターによれば、コンタクトレンズによる障害で最も多いのが、角膜上皮に傷が生じる「表層角膜炎」。傷が広く深くなると、「角膜上皮びらん」「角膜潰瘍」へと進行するが、これらも多く見られる症例。さらに、ブドウ球菌や緑膿菌などの細菌によって炎症を起こす「細菌性角膜炎」や、角膜に血管が侵入し、角膜中央に向かって伸びる「角膜血管侵入」、さらに上まぶたの裏側(結膜)にブツブツの乳頭が生じる「巨大乳頭結膜炎」なども、コンタクトレンズによる症例は数多い。重症の場合、失明の可能性もある。

眼科専門医の荒井宏幸医師(みなとみらいアイクリニック)はこう話す。
「レンズ表面に色がついている構造は、片面にプリントしているケースがほとんど。生体と直接接触するため、装着しているうちに色が剥がれ始めます。そのうちに、剥がれた部分とプリントが残っている部分が混在し、表面が凹凸状になる。この状態のレンズを装着していると、目の表面が傷だらけになり、深刻なトラブルを招きかねません」と。
良かれと思って取り入れたそのおしゃれが、取り返しのつかない致命傷になるかもしれないので注意しましょう。

AERA dot.より引用