2017年2月10日

75歳以上の高齢者ドライバーは2005年の約236万人から2015年には約478万人と、10年間で約2倍に増え、75歳以上のドライバーのうち、死亡事故を起こした人の認知機能検査を調べたところ、約半分が「認知症のおそれ、あるいは認知機能低下のおそれ」があったことが分かりました。「認知機能の低下が、高齢者による事故に何らかの影響を与えている可能性は高く、今後も高齢者ドライバーの増加が見込まれる中、高齢者による交通事故を減らすには、認知症のドライバーを早期に見つけ、運転をやめてもらうことが重要です。

道路交通法では、認知症と診断されたドライバーは、免許取り消しあるいは停止処分となることが定められています。その点は、2017年3月の道路交通法改正後も変わりませんが、改正後は、さらに認知症対策が強化され、高齢者ドライバーの中から認知症のおそれがある人を今まで以上に見つけやすくなると期待されています。

これまでの運転免許制度では、認知症が見つかるケースは限られていましたが、ドライバーの認知機能の現状をタイムリーに把握する制度が存在せず、3年に一度の免許更新時に、75歳以上を対象にした認知機能検査が行われるのみでした。
75歳以上の高齢者の認知機能検査の結果、「認知症のおそれ」「認知機能の低下のおそれ」「認知機能の低下のおそれなし」の3段階に分類されますが、認知症のおそれに分類されても、必ずしも医師の診断を受ける必要はありませんでした。
「認知症のおそれ」と分類された人のうち、特定期間内に、信号無視、通行禁止違反など一定の違反行為をした人に限り、医師の診断を受けなければならず、認知症と診断されれば免許取り消しあるいは停止となり、その結果、2015年中に「認知症のおそれあり」と分類された人(約5.4万人)のうち、同年中に医師による診察に至った人はわずか3.1%(約1650人)、そのうち免許取り消し、または停止に至ったのは565人でした。

改正後の免許更新手続きでは、75歳以上の高齢者は、認知機能検査で「認知症のおそれ」があると判定された場合、違反の有無にかかわらず医師の診断を受けなければなりません。もちろん、これまで同様、医師から認知症と診断された場合には、免許取り消しあるいは停止となります。改正後は、認知症の人を見つけやすくなるだけでなく、高齢者講習の内容も高度化され、これまでの高齢者講習は認知機能検査の分類に応じて実車指導の方法を変えるだけでしたが、改正後は『認知症のおそれ』『認知機能の低下のおそれ』と分類された人は、約3時間の講習を受けなければなりません。実車指導の際にドライブレコーダー等で運転している様子を撮影して、あとでそれを見ながら運転の個別指導をするといった内容となります。逆に『認知機能低下のおそれなし』と分類された人は、約2時間の高齢者講習を受ければよくなります。

警察庁では、高齢者の安全な運転を支援すると同時に、「運転に自信がなくなった」あるいは「家族から運転が心配と言われた」という高齢者などに対して、運転免許の自主返納を促進する取り組みも始めており、そうした取り組みもあって、近年、高齢者ドライバーの運転免許返納件数は増加しております。

改正によって、認知症の高齢者ドライバーは減り、交通事故自体は減るかもしれません。しかし、自家用車に代わる交通手段がない地域では、免許取り消しなどで日常生活がままならなくなる人たちが増えるのも事実です。生活の必要に迫られて自動車を手放せない人は多いです。技術革新による安全な自動車の普及、さらに、住宅地域ではスピードを出しにくい道路を整備するといった安全な街づくり、特に安中市では高齢者が利用しやすい移動手段の確保など、社会全体の理解が必要だと思います。

【高齢者の運転免許自主返納支援事業】

前橋市
運転経歴証明書の交付手数料を全額助成 ほか、次の中からいずれか一つを贈呈。

  • 運転免許証自主返納支援バスカード(ころとんバスカード)(5,800円分)
  • 上電マイレール回数券(5,500円分)
  • ふるさとバス回数券(5,500円分)
  • るんるんバス回数券(5,500円分)

 

高崎市(年齢65歳以上)
次の中からいずれか一つを贈呈。

  • 敬老バスカード(5,800円分)、ぐるりん回数券(1,200円分)のセット
  • よしいバス回数券(6,600円分)
  • 高崎地区タクシー利用券(6,000円分)

 

富岡市(65歳以上)

  • 運転経歴証明書の交付手数料を全額助成

道交法改正で、75歳以上の免許更新はどう変わる?

参考資料:群馬県 日経Gooday シンク出版引用