2017.8.31

「帯状疱疹予防に水痘ワクチンを!」

帯状疱疹とは?
水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルス(varicella-zoster virus:以後 VZV)による皮膚症状です。VZVが初めて感染すると、水ぼうそう(水痘)と呼ばれる全身の皮膚に水疱を伴う発疹をつくります。この”水ぶくれ”の中には、たくさんのVZVが含まれています。水ぼうそうが治癒すると、皮膚や血中のVZVは消失します。一部のVZVは脊髄から出る末梢神経の根元の部分に隠れて残ってしまいますが、普段は人間の免疫力によって活動が抑えられています。
帯状疱疹とは、神経の根元に隠れているVZVが年齢やストレスなどで免疫力が低下したときに再び暴れだして(再活性化といいます)起こる皮膚炎です。隠れている神経の根元から、神経が伸びていますが、この神経に沿ってVZVが増殖し、その神経が分布している皮膚に、水疱を伴う炎症を起こしてきます。神経の分布に沿って発疹が帯状に出ることから帯状疱疹と呼ばれています。体の左右どちらか片側に出ることが特徴です。強い痛みを伴うことが多く、症状は2~4週間ほど続きます。多くは腕や胸、背中に症状が出ますが、顔や首などに現れることもあります。帯状疱疹患者の7割が50歳以上です。日本では、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるといわれています。

帯状疱疹後神経痛とは
帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、何か月、ときには何年もつらい痛みが残ってしまう可能性があります。50歳以上では約2割の患者さんが、このような状態に移行するといわれています。これは再活性化した際に、神経が傷つくことにより痛みが残ってしまうためです。痛みの表れ方には個人差がありますが、中には痛みがつらくて生活できず、ペインクリニックという痛み専門のクリニックで定期的に痛みをブロックするような注射が必要になる方もいらっしゃいます。
帯状疱疹の予防
2016年、水痘ワクチンを「50歳以上の方の帯状疱疹の予防」を目的に接種することが認められました。水ぼうそうにかかったことのある50歳以上の方は、ワクチンの接種をお勧めします。ワクチンを接種することで、帯状疱疹の発症率を65%も減らし、帯状疱疹にかかることを予防しかかったとしても症状が軽く済みます。