私たちがよく耳にする血液型は「ABO式血液型」と呼ばれるもので、赤血球の表面にある物質(抗原)の違いによって、A、B、O、ABの4種類に分類されています。

血液型が特に重要となるのは、輸血を行うときです。別の血液型の血液を輸血してしまうと、本来の自分の血液との間でアレルギー反応のような副作用が起きてしまいます。血液には抗原を攻撃する成分(抗体)が含まれており、例えばA型の人にB型の血液を輸血すると、B型の血液に含まれる抗体がA型の抗原を攻撃してしまうのです。そのため輸血は同じ血液型同士で行うのが大原則です。
ただし、O型の血液だけは他の血液型の人に輸血してもこうした反応が起きません。O型の赤血球には抗原がないため他の血液型の血液に含まれる抗体から攻撃されることがないのです。
血液型といえば、「A型は几帳面」「O型は大ざっぱ」といった性格診断がおなじみかもしれません。しかし、血液型と性格の関連性には科学的根拠がないことが分かっています。
一方、血液型と病気のリスクに関する研究は、世界各国で数多く行われています。
救急医学を専門とする高山先生は、2018年に発表した論文の中で、重傷を負って救命救急センター施設に運ばれてきた901人のデータを集めて調べてみたところ、O型の人の死亡率は28%、O型以外の人の死亡率は11%と
血液型によって死亡率に差が出たのです。
例えばO型の人では、他の血液型の人と比べて、フォン・ヴィレブランド因子という血液凝固因子(血液を固めて止血を助けるタンパク質)が3割程度少ないことが知られています。O型の人の場合、血液が固まりにくい特徴がある反面、血液が固まること(血栓)が原因で発生する病気が他の血液型の人よりも少ないといわれています。O型以外の人は、O型の人と比べ心筋梗塞のリスクが1.25倍、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)のリスクが1.79倍との報告があります。
O型の患者さんは大けがをした際に出血が止まりにくいことが、死亡率が高い原因の一つではないか、と考えられます。
リスクの高い病気には、どの程度気をつけたらいい?
血液型による病気のリスクの違いが報告されています。例えば、2010年にスウェーデンの大学が発表した研究結果によると、A型の人の胃がんのリスクは、最もリスクの低かったO型の人と比べて1.2倍でした。
2009年にアメリカ国立がん研究所が発表した論文では、B型の人は最もリスクの低かったO型の人に比べて、膵臓がんのリスクが1.72倍高いと報告されました。2014年に発表されたアメリカの研究では、AB型の人は最もリスクの低かったO型の人と比べて、脳卒中のリスクが1.83倍高くなりました。
また、もし血液型ごとにかかりやすい病気が違うのであれば、血液型別に治療薬や予防法を開発することで、一人ひとりの患者さんに合わせた対策が可能になるかもしれません。
今後、どのような結論が出るかまだ分かりませんが、血液型は日本人にとってなじみの深いものです。まずは血液型と病気のリスクに関連があることを知り、これをきっかけに自分自身の健康にもさらに関心を持つよう心がけてみてはいかがでしょうか

https://kenko.sawai.co.jpより引用