2019.3.18

「いい香りが「香害」に。強い香りで体調を崩す人が増えている」

強い香りのする柔軟剤や洗剤のブームが続いています。しかし、これが健康を害する可能性が指摘されています。

日本より先に香りビジネスが盛んになったアメリカやカナダでは、香料による呼吸困難やアレルギー症状などが問題になり、市職員などで香料の使用を規制する都市も出ているほどです。オフィスや学校、病院で使用を自粛するところも増えています。

また、日本消費者連盟が2017年に2日間限定で開設した「香害110番」には、213件の訴えが寄せられました。日常生活で弊害を受けた人が少なからずいたということです。シャボン玉石鹸の行った香り付き洗濯洗剤に関する調査で59%の人が人工的な香料のにおいで頭痛、めまい、吐き気、関節痛など体調不良になったことがあると回答しています。

 

がん性や内分泌かく乱作用が指摘される

ムスクという香料は、麝香鹿(じゃこうじか)の分泌から作られていましたが、乱獲が問題になり、合成ムスクしか使用できなくなりました。この合成ムスクが、後に発がん性や内分泌かく乱作用が指摘されることになったのです。ムスクは香料を定着させる作用もあるため、シャンプーや洗剤、芳香剤などに広く使われています。これが下水から海にばらまかれ、食物連鎖として魚を通じて、人の体内からも検出されています。

現在では、安全性の高い合成ムスクが開発されていますが、こちらは比較的高価なため、安価な工業製品には利用しづらいのが現状です。日本を含めた先進国では、厳しい国際基準に基づいて安全な香料が使用されていますが、日常的に手に入る安価な輸入品や工業製品には注意が必要です。

 

消臭・芳香剤でアレルギー症状を起こすことも

置き型の消臭・芳香剤ではシックハウス症候群や化学物質過敏症の原因になるアルデヒド類やケトン類などの揮発性有機化合物が放散される懸念もあり、簡単に空気中に拡散するので、体を守る働きが弱い小さなお子さんの気管支や皮膚に影響し、アレルギー症状を起こす場合もあります。

本来、暮らしを快適にするはずの香りですが、間違ってプラスしてしまうと、周りの人を不快にするだけでなく、健康や環境を害する可能性もあります。こうしたことを念頭において、身の回りの香りをコントロールしましょう。

 

 

gooヘルスケア より引用