2018.09.12

「高齢者に多い誤嚥性肺炎とは」

肺炎で亡くなる方の多くは高齢者で、その中でも「誤嚥(ごえん)性肺炎」が圧倒的に多いといわれます。風邪に似た症状のため、見過ごされて重症化することが少なくありません。嚥下機能の低下により細菌が肺に侵入することが原因となるため、日常的な予防が大切です

食べ物や飲みものを飲み込むことを「嚥下(えんげ)」といいますが、「誤嚥(ごえん)」は嚥下をうまく行うことができなくて、食べ物や飲みもの、胃液などが気管や気管支に入ってしまうことをいいます。食べ物や飲みものが間違って気管に入ると、むせることで気管から出そうとする条件反射が働きます。けれども加齢などによりこの機能が鈍ってしまうと、誤嚥によって気管に入ったものを排出することができなくて、結果として肺炎を起こしてしまいます。肺炎で死亡する人の94%が75歳以上のお年寄りで、90歳以上の高齢者の死亡原因第2位が肺炎です。また、高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係しています。嚥下機能低下により、気がつかないうちに唾液と共に細菌が肺に流れこみ、誤嚥性肺炎になるのです。
症状には、発熱、強い咳が出る、黄色い痰が出る、呼吸するのが苦しい、呼吸時にグウグウ、ヒューヒューといった肺雑音がする、などが挙げられます。間違えて風邪と診断されることがあるため、注意が必要です。高齢者が誤嚥性肺炎になっても、典型的な症状が見られないことが多々あります。なんとなく元気がない、いつもウトウトしている、喉がゴロゴロ鳴っている、食事に時間がかかる、食事中にむせるといった症状が見られることもあるので、注意深く観察します。
誤嚥性肺炎を引き起こす細菌には、肺炎球菌や、酸素のないところのみに生息する嫌気性菌などがあります。治療は手術ではなく薬を用い、嫌気性菌に対応する抗生剤が使われます。呼吸不全を起こしている場合は酸素吸入を行い、人工呼吸器を使うこともあります。
誤嚥性肺炎になる最大の原因は「飲み込む力が落ちたこと」のため、肺炎が一度治っても、何度もくり返す傾向があります。その度に薬剤に対抗する「耐性菌」ができるので、徐々に薬が効かなくなり、治療が難しくなっていきます。誤嚥を防ぐこと、肺への細菌の侵入を防ぐことが予防に繋がります。

食べ物はよく噛んでゆっくり食べるようにする。異物が気管に入ったら、うつ伏せで背中を叩くなどしてできるだけ早く外に出す。歯磨きやうがいをして、口の中をいつも清潔に保つようにしましょう

                   AII About より引用