2018.05.24

「認知症抑制にビタミンC 金大チームが確認」

認知症の危険因子であるタンパク質「アポリポタンパクE(アポE)E4」を保有する女性は、ビタミンCを多く含む食品を摂ると発症を抑えられる可能性があることを、金大の研究チームが世界で初めて確認しました。七尾市中島町で認知症の予防を探る「なかじまプロジェクト」で、同じ危険因子をもつ人でも、血中のビタミンC濃度が高ければ、高度が低い場合と比べ、発症リスクが10分の1にとどまることが分かりました。

現在、「アポE E4」の保有者を認知症になりにくくする方法は確立していません。研究チームは今後、ビタミンCが認知症を抑制するメカニズムを解明し、ビタミンCの摂取が認知症の予防に効果があるのか確かめるそうです。認知症の新たな予防法の開発につながると期待されています。

金大医学系脳老化・神経病態学(神経内科学)の山田正仁教授と篠原もえ子特任准教授らのチームが取り組みました。23日に米国の認知症専門雑誌「ジャーナル・オブ・アルツハイマー・ディジーズ」に発表しました。

研究チームは2007~08年、七尾市中島町で認知機能が正常な65歳以上の男女606人について、「アポE E4」の有無や血中のビタミンC濃度を調査しました。その後、死去したり転居した人を除いた349人について、14~16年に認知症や、認知症の前段階に当たる軽度認知障害の発症の有無を調べました。
その結果、「アポE E4」を保有している女性の認知症・軽度認知障害の発症割合は、ビタミンCの血中濃度が高い人は16人中4人にとどまり、血中濃度の低い人の14人中9を下回りました。

年齢や高血圧、糖尿病など、その他の認知症の要因を差し引いて発症リスクを分析すると、ビタミンCの血中濃度が高い人は低い人に比べて、認知症・軽度認知障害になるリスクが10分の1にとどまることが分かりました。

金大は2006年、七尾市中島町の60歳以上の住民を対象になかじまプロジェクトを開始し、緑茶をよく飲む人ほど認知症になりにくいことを突き止めました。山田教授は「さまざまな食品に含まれるビタミンCに認知症のリスクを下げる可能性があることを見いだせたことは意義深い」と話しています。

47NEWS引用