2018.2.28

「冬季オリンピック」

冬季オリンピックが閉幕しました。大きなスポーツの大会を見るたびに、選手にかかるプレッシャーの大きさを想像し、それに打ち勝つ姿をみて感動します。
プレッシャーに打ち勝つために、一流のスポーツ選手たちが実践しているセルフコントロール術はどんなものなのでしょうか。東海大学体育学部の高妻教授にお聞きした記事をご紹介します。
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肝心なプレゼンや大事な仕事などを前にして「結果を出せなかったらどうしよう」とプレッシャーを感じることはないでしょうか。正念場を前にして浮かび上がったマイナス思考は、次第に増大して心身を狂わせるような悩ましいプレッシャーとなることがあります。いったん悩み始めると、不安や恐れがさらに強くなるため、呼吸が乱れたり集中力が低下したりとコンディションが悪化。その結果、ミスを招くなどしてマイナス思考にますます拍車がかかり、悪循環へと陥っていくのです。そんな状況を回避して良好な心理状態を保つために、効果的なのはプラス思考になること。ただし、人の心は「変えよう」と思うだけで簡単に変えられるものではありません。
そこでおすすめしたいのは、行動を変えることでプラス思考へと導くこと。行動を変えることよって意図的に、思考にも変化をもたらすことができるのです。メンタルが弱い人は過去を引きずりがち。自分にはコントロールできないようなことにまで思いを巡らせ、マイナス思考に陥ってしまうのです。
例えば、1打席目、2打席目で打つことができなかった野球の3割打者の場合
マイナス思考の場合…「あと1打席しかチャンスがない」
プラス思考の場合…「3割打者なのだから3本に1回は打てる。次こそ最も打てる可能性が高い!」
すでに失敗してしまった1打席目を後悔したところで、その結果はコントロール不能。いつまでも思い悩んでマイナス思考に陥っていては、さらに悪い結果を招いてしまう。過去を悔やむのではなく、ポジティブな未来をイメージしてプラス思考になるほうが、良い結果につながりやすいのです。
プラス思考になるための心理的テクニックとして、おすすめなのが「セルフトーク(独り言・自己会話)」です。声を出さず心の中でつぶやく方法でも十分に効果があります。
まずは試しに、次のようにつぶやいてみましょう。
「やりたくない」「嫌だ」「無理」…。そして、自分の今の気持ちを観察してみます。つぶやく前と比べて気持ちが落ち込み、ネガティブになっていないでしょうか。
続いて、「できる!」「ナイス!」「絶好調!」などのポジティブな言葉をつぶやき、再び自分の気持ちをチェックしてみましょう。先ほどよりもずっと前向きな気分になっているのではないでしょうか。
鏡で自分の顔を見ながら実践すると気持ちが高まります。笑顔になってポジティブな言葉でセルフトークをしてみましょう。また、セルフトークに加え、周囲の人たちと積極的にポジティブなコミュニケーションをとることも有効です。褒めたり笑ったりし合うことで、頭の中はプラス思考になり、気持ちが上向きになっていきます。
スポーツの試合に限らず、重要な仕事やプレゼンを前にすると、気持ちが萎縮してネガティブになってしまうこともあるでしょう。そんなときこそ、プラス思考になり『できる!』といった言葉で自己暗示をかければ、モチベーションを上げて理想的な心理状態で勝負に臨むことができるのです。未来に対するポジティブなイメージを思い描くプラス思考。さらに、それを言葉にして自分に語りかけるセルフトークを行って、プレッシャーに負けない心のスイッチを入れましょう。

日経goodayより転載・引用