2017.12.7

「肺炎とは?」

肺炎は細菌やウイルスなどが肺に入り込んで起こる肺の炎症です。風邪の症状とよく似ており、実際、風邪から肺炎になることもあります。症状はまず熱が出て、それに伴って咳や痰が出て、人によっては息苦しさや胸に痛みが出ることもあります。風邪は、1週間以内にピークが来て、その後徐々に治まるのが普通です。1週間を過ぎても高熱が続くような場合は、肺炎の疑いもあるので早めに受診をするようにしましょう。
厚生省のデーターによると肺炎は日本人の死因の第三位、肺炎による死亡者の95%が65歳以上の人です。まず肺炎に注意しなければならないのが高齢者です。様々な肺炎の原因菌の中で最も高齢者に多いのは肺炎球菌で、体の抵抗力が弱まった時などに感染しやすくなります。
高齢者の肺炎は、症状が出にくいのも特徴です。急に意識がなくなったり、立ち上がれなくなったりして、病院に搬送されてきて初めて肺炎が見つかるケースもあります。熱が出ないこともあるため、少しでも異変に気づいたら、すぐに医療機関を受診してください。
更に高齢者で嚥下機能が低下している方は、誤嚥性肺炎にも注意。「嚥下」とは飲み込む働きですが、これが低下すると、睡眠中にも唾液が気管に流れ込み、それが原因で肺炎になることもあります。
内科病棟に入院する80歳代後半の方々の約8割がこの誤嚥性肺炎です。
一方、40歳代以下の肺炎の原因で圧倒的に多いのがマイコプラズマ肺炎です。集団生活で感染することが多いため、まずお子さんがかかって、家族に感染するケースがよくあります。頑固な咳が長く続きますが、比較的軽症であることが多く、抗生物質などの内服で治すことが出来ます。
◎肺炎を予防するには、
高齢者で誤嚥の疑いがあれば、食事の水分にとろみをつけて飲み込みやすくする指導をしたり、
口内を清潔に保つよう口腔ケアを奨励しています。また、高齢者の場合、体力の有無が肺炎になった際の明暗を分けることもあるため、日頃からの健康管理も大切になります。
予防として注目されるのが、肺炎球菌ワクチンの予防接種です。5年に一度接種し、インフルエンザの予防接種も受けると、より効果的とするデーターもあります。すべての肺炎を防ぐものではありませんが、肺炎球菌による肺炎の感染を予防し、重症になるのを防ぎます。
次の項目に該当する方は医師に相談してみることをお勧めします。
★65歳以上の方 ★老人ホームや長期療養施設などに居住されている方
★慢性の持病(呼吸器疾患、糖尿病など)を持っている方
★感染症にかかりやすい状態にある方、脾機能不全のある方
また、集団の中で過ごす時間の多いお子さんは、外出から帰ったらうがい、手洗いをしっかりさせてください。もしお子さんが肺炎にかかったら、家族全員でマスクをしましょう。
特に働き盛りの方は、解熱剤で熱が下がるとすぐに仕事に出てしまう方が見受けられます。これは薬の作用で熱が下がっているのであって、病気が完治しているわけではありません。周囲に菌を感染させることもあるので、薬は処方どおりに飲みきり、休養と栄養をしっかりとってから復帰するようにしましょう。

                            教えてドクターより