2017.10.21

「実は危険な口呼吸」

鼻は加湿器、空気清浄器、エアコンの3つの役割を持つ
くちびるがカサカサになる原因の一つが、口呼吸にあるといわれています。その理由は乾燥です。
鼻水は1日に約1ℓも分泌されています。そのうち約7割は、鼻を通る空気を加湿するのに利用されます。鼻水が取り込んだ空気に湿り気を与えることで、体内に入る空気の湿度は90%以上に高められます。しかし口呼吸では、これほど湿度を上げることができません。鼻呼吸の場合より口呼吸のほうが口腔内を乾燥させてしまい、その影響でくちびるもカサカサになってしまうという専門家もいます。くちびるが荒れて気になる人は、口呼吸になってしまっていないかを、確認してみましょう。

鼻は、空気をきれいにする働きも持っています。
まず、ホコリなどが体内に侵入するのを防ぐのが鼻毛です。そして鼻粘膜に生えている微細な線毛と粘液層が、細菌やウイルスなどを捕獲します。つまり、鼻から入った空気はこれら異物の多くが除去され、いわば空気清浄器から放出された空気のような状態になっているのです。
また、粘液には抗体があるため、細菌やウイルスが粘膜の細胞に付着したり侵入するのを防ぎます。風邪やインフルエンザは、病原体が細胞内や粘膜で増殖することで発症しますので、鼻から入った空気は、口から入る空気より、感染症にかかるリスクが少なくなるのです。

また、鼻から呼吸することで、空気が温められます。その温度は35~37度にもなります。口呼吸ではここまで温められることがなく、冷たいまま肺に届けられてしまいます。すると、肺の免疫力が低下するリスクにつながったり、肺にかかる負担が大きくなってしまいます。
このように、鼻は加湿器、空気清浄器、エアコンの3台を合わせた機能を持っています。だから、健康のためには鼻呼吸が重要なのです。

口呼吸には感染症の危険も
口呼吸では、鼻呼吸ほど異物を取り除けないほか、温度や湿度も高められません。喉の奥にはリンパ組織があり、通常であれば免疫がはたらくのですが、鼻で排除されるべき異物まで喉に入ってくると、除去しきれなくなってしまう場合があります。すると気道が細菌やウイルスに感染する危険性が高まり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。
また、てのひらや足の裏にアトピーのような湿疹ができるのも、口呼吸が原因の一つだという専門家がいます。口呼吸で扁桃が炎症を起こしやすくなるため、免疫が低下するからというのです。さらには口呼吸の場合、歯肉炎などを起こしたり、虫歯になりやすくなるといったことも指摘されています。これは口の中の乾燥が影響するからです。
ほかにも花粉症や喘息などさまざまな病気を、鼻呼吸に戻すことで治そうという試みも行われています。

しかし、慢性的に鼻づまりを起こしている場合は、ポリープのようなものができていたり、副鼻腔炎などほかの病気が原因であることも考えられます。その場合には根本を治療する必要がありますので、専門医を受診しましょう。

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