2017.10.17

「犬や猫から人に感染する皮膚炎とは?」

犬や猫などペットの室内飼いが増えるとともに、ペットから人へうつる病気も増加しています。そのうちの1つに、小胞子菌の寄生による皮膚糸状菌症があります。
ペットを介してうつる病気のひとつ皮膚糸状菌症は、皮膚真菌症、白癬ともいわれます。犬や猫に発症するのは、白癬菌の一種イヌ小胞子菌やネコ小胞子菌の寄生による疾患です。

白癬菌には多くの種類があり、その中には人に感染する菌もありますが、人以外の動物に感染する白癬菌もあります。これを好獣性白癬菌といいます。
好獣性白癬菌のうち、犬を宿主とするものをイヌ小胞子菌といい、犬のタムシの原因となります。また、猫を宿主とするものもありネコ小胞子菌といいます。多くはペットショップなどで子犬や子猫のうちに感染します。顔や耳、脚などにぶつぶつした斑点や脱毛などの症状がみられ、脱毛部分を掻く仕草が見られることもあります。
放置していても、しばらくすると症状は落ち着くので、治ったように見えます。しかし、実は菌が潜伏しているだけで治癒はしていません。こうして犬や猫にすみついた菌は、胞子をばらまきながら生息して人に感染します。

人にうつると顔・腕・頬などに、かゆみを伴った1cmくらいの赤く丸い発疹、または貨幣くらいの発疹ができます。犬や猫をよく観察すると同様の脱毛や発疹が見つかるので、ペットからの感染とわかります。犬同士や猫同士でうつるよりも、人にうつってからのほうが強い症状になる傾向があります。

普通は菌に接触してもすぐに感染・発症するわけではなく、人の皮膚の持っている免疫のバリアーによって守られています。しかし、菌との接触が頻繁で、洗い流されずに皮膚に留まってしまうと、菌が皮膚の内部に侵入して炎症を起こします。ペットと触れあう機会が多いほど発症しやすいといえます。

重症になることはまれですが、なかなか治りにくく長期にわたる治療が必要となります。疑わしい発疹が見つかったら、放置せず早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
日常の注意として、ペットと触れあった後は、手を洗ったりお風呂で洗い流したりするなど、皮膚を清潔に保つことが大切です。

毎日新聞引用