2017.10.4

「医学生理学賞に米3氏 体内時計を解明」

スウェーデンのカロリンスカ研究所は2日、2017年のノーベル医学生理学賞を、体内時計をコントロールする「時計遺伝子」を発見し、その仕組みを解明した米国の3氏に贈ると発表しました。授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、賞金900万スウェーデン=(約1億2400万円)が贈られます。

受賞が決まったのは、ジュフリー・ホール米ブランダイス大名誉教授(72)とマイケル・ロスバシュ同大教授(73)、マイケル・ヤング米ロックフェラー大教授(68)。同研究所は「画期的な発見。体内時計は私たちの健康と福祉に影響を及ぼす重要な研究分野に発展した」と評価しました。

朝に目を覚まし、夜になると眠くなるような24時間のリズムを作り出す体内時計は、ヒトを含むあらゆる植物や動物の行動を支配しています。海外旅行などで時差ぼけが起きるのは体内時計の影響です。ホール氏らは1984年、ショウジョウバエをモデルに、日常の体内リズムを制御する時計遺伝子「ピリオド」を特定しました。ホール氏とロスバシュ氏はこの遺伝子によって作られるたんぱく質が夜間に細胞内で作られ、日中に分解されることを発見しました。24時間の体内サイクルと同調していることを突き止めました。ヤング氏は94年、ピリオドの機能を補完する時計遺伝子「タイムズ」を発見しました。

70年代に体内時計が遺伝子でコントロールされていることが分かり、遺伝子の発見競争が始まりました。97年には金沢大の程肇(ていはじめ)教授(ゲノム時間生物学)が哺乳類で同じ「ピリオド」を発見しました。体温や血圧、糖代謝などの生理機能を制御するとともに、遺伝子解析によって、生活習慣病などのさまざまな病気に関わることが分かっています。体内時計に詳しい吉種光(よしたねひかり)東大助教(時間生理学)は「私たちの健康や幸福に関わる研究分野を開拓した功績は大きい」と話しています。

医学生理学は15年に大村智・北里大特栄誉教授、16年に大隅良典・東京工業大栄誉教授が受賞したが、日本の3年連続受賞はなりませんでした。

毎日新聞引用