2017.9.14

「老人ホームの倒産数が1年で1.5倍に!倒産したら入居者はどうなる?」

老人福祉・介護事業の倒産は2016年に91件を記録し、2000年の調査開始以降、最多となり、 2000年に介護保険制度が開始されたことをきっかけに「高齢者が増えるこれからの時代は、介護事業で利益が得られる」という発想から、不動産事業や地主など、介護とは縁遠かった企業も、老人福祉・介護事業に参入することが多くなりました。ですが、新たに増えた業者は介護事業の知識や経験が不足しているケースも多く、優秀な職員が集まらないという状態にありさらに、2006年には改正介護保険法が施行されたことも、事業の倒産に大きく影響しています。介護報酬が引き下げられて利益率が低下したことが、倒産する福祉・介護事業が増えた原因と言われています。

介護施設が倒産したら入居者はどうなるのか?
倒産件数の大体が訪問介護や通所介護サービスですが、老人ホームも倒産することはあり得ます。実際、2016年に倒産した老人福祉事業は11件。老人ホームが倒産した場合、別の会社に運営が引き継がれる「事業譲渡」が行われるケースと、引き継がれないケースの2つに分かれます。
■事業譲渡が行われた場合
施設を運営する会社が変わるだけなので、入居者が退去しなければならなくなる、ということはありません。また、職員もそのまま引き継がれることが多いです。しかし運営が引き継がれたからといって全てがそのままというわけではありません。事業が引き継がれれば運営体勢が変わり、施設のサービスや規則も変わります。このため今まで無料で利用していたサービスが有料になったり、サービス自体がなくなったりしてしまうことがあるのです。
■事業譲渡が行われない場合
ほとんどのケースで事業譲渡が行われ、入居者はそのまま生活を続けることができます。しかし、施設を引き継ぐ企業があらわれない場合は老人ホームが閉鎖されることになります。
このとき、入居者は退去を余儀なくされ、あらたな住まいを探さなくてはいけません。退去が決まり、運よく次の入居先が決まっても安心できません。引越しの費用を誰が出すのか、入居費用はどうなるのかなどといった問題があります。移転先が決まった方の中には「移転先の施設に引越しの際の送迎をお願いしたところ介護保険の点数が引かれると言われ、急きょ家族の車で引っ越しをした」ということもあります。

高齢者が増え続ける現代社会において、高齢者向け施設や事業を新たに展開する企業は増えています。しかし、その全てが介護の知識や、介護施設を運営するためのノウハウを持っているとは限りません。老人ホームの倒産で思わぬトラブルに巻き込まれないためには、開設された年や倒産した時の対処内容を確認することはもちろん、安定して経営できている老人ホームを選ぶことが大切のようです。

シニアのあんしん相談室より引用