2017.8.9

「麻疹」

 

麻疹の患者数が昨年1年間の159人を上回り、すでに168人になったことが今月6日、国立感染症研究所の調査で分かりました。日本は土着ウイルスが存在しない「排除国」に指定されており、患者は海外で感染したとみられます。夏休み中で海外旅行も増えており、厚生労働省は「帰国後は体調の変化に気を配り、不明の場合は検査を受けてほしい」と呼びかけています。
感染研によると、患者数の都道府県別では、山形県(53人)、三重県(22人)、東京都(19人)、広島県(11人)、大阪府(9人)の順に多かったそうです。山形ではインドネシアから帰国した男性の感染が判明し、帰国後に感染が広がったとみられます。年齢別では30代(33%)が最も多く、20代(31%)、40代(12%)、10代(12%)の順でした。
日本はかつて患者数が約20万人に上り、他国から「はしか輸出国」と呼ばれていました。平成18年に十分な免疫が得られる「予防接種2回」の導入が奏功し、21年には患者数が732人に激減。患者数が35人になった27年には、世界保健機関(WHO)から「排除状態」と認定を受けています。しかし、28年は輸入例を発端とする集団発生が複数の自治体で発生したこともあり、報告数は159例となりました。
一方で現在、東南アジアの複数の国で麻疹が流行。日本の患者の推定感染地域は今年、インドネシアが最も多いそうです。欧州でも流行しており、今年に入りイタリアで約4千人の患者が報告されたほか、ルーマニアでも約8千人の患者が出て32人が死亡したといいます。
■麻疹 麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症。感染力は極めて強く、空気感染もするため手洗いやマスクなどの感染対策も効果的な予防手段とはいえません。唯一の有効な予防方法は、ワクチンの接種で免疫をあらかじめ獲得すること。免疫を持たない人が感染した場合、10~12日間の潜伏期を経て発症。発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。成人の方が小児期の感染と比べ重症化しやすく注意が必要です。

産経新聞、国立感染症研究所ウェブサイトより引用