2017.7.3

「老老介護」

 

2016年、75歳以上の要介護者・要支援者については、主に介護する人の30.2%が「75歳以上の配偶者」であり、いわゆる老老介護の世帯が3割を超えている―。 厚生労働省が先月27日に公表した2016年の「国民生活基礎調査の概況」から、このような状況が明らかになりました。調査では、要介護度が高くなっても在宅生活を継続するためには「家族介護が不可欠」な状況も明らかになっており、老老介護の進展により在宅生活のハードルが高まってきている(在宅生活の要となる家族介護が難しくなってくる)と考えることもできそうです。

65歳以上の高齢者のいる世帯について、内訳を見てみると、最も多いのは「夫婦のみの世帯」で31.1%、次いで「単独世帯」27.1%、「親と未婚の子のみの世帯」20.7%、「三世代世帯」11.0%という状況です。ほぼ6割(58.2%)が「夫婦のみ」「単独」世帯となっています。家族形態を見ると、「子と同居」(38.4%)よりも「夫婦のみの世帯」(38.9%)が多くなりました。

ここで「介護の状況」を見てみます。要介護者・要支援者のいる世帯は、「核家族世帯」が37.9%ともっとも多く、次いで「単独世帯」が28.9%、「三世代世帯」が14.9%となっています。単独世帯では比較的要介護度が低く、核家族世帯・三世代世帯では逆に要介護度が高くなっており、重度になっても在宅生活を継続するためには「家族による介護」が重要な要素となっていることが分かります。

主な介護者を見てみると、「要介護者と同居の者」が58.7%ともっとも多く、次いで「事業者」13.0%、「別居の家族など」12.2%と続いています。依然として6割は家族介護が主力となっていることが分かり、上記を裏付けていると言えます。  「同居の者」の内訳は、「配偶者」が25.2%ともっとも多く、次いで「子」21.8%、「子の配偶者」9.7%などと続きます。要介護者などの年齢階級別に、状況を詳しく見てみると、「70-79歳」の要介護者などでは介護者が「70-79歳」である割合が48.4%とほぼ半数ですが、「80-89歳」の要介護者などでは介護者の32.9%は「50-59歳」となっています。80歳を超えると配偶者(とくに夫)が死亡してしまうケースもあり、子供や子供の配偶者に家族介護負担がシフトしていく状況が見えてきます。

なお、75歳以上の要介護者などを75歳以上の配偶者が介護する「老老介護」の割合が30.2%となり、初めて3割の大台に乗りました。2025年に向けて、状況はますます厳しくなる(老老介護が増えていく)ことから、そのベースとなる介護人材確保などの対策が急がれます。

 メディ・ウォッチより引用