2017.6.2

「アニマルセラピー」

 

認知症高齢者のケアを中心に、アニマルセラピーが注目を集めています

動物とともに時間を過ごすことによって、ストレスが減少し、笑顔などが増え、動物の活動につられて高齢者の活動量も増え、全体的に生活の質(QOL)が向上します。アニマルセラピーは、大学病院などでも研究が進められており、臨床の現場でも高い効果が見込まれています。

アニマルセラピーの歴史は古く、1962年頃から研究されています。入院患者にも、外来患者にも効果が見込まれており、1987年の段階で1000件以上の論文が提出されています。アニマルセラピーの効果を区分すると、生理的効果、心理的効果、社会的効果の3つに整理することができます。

生理的効果は、動物の存在そのものが有益であり、飼っている人の生理状態が改善するとされるものです。代表的なものとして、動物と触れ合っていると血圧が安定するというものがあります。また、ペットを飼っているほうが、心臓疾患後の延命率が高いというデータもあります。

心理的効果は、アニマルセラピーを行っている人のほうが、心理的側面の改善が見られるというものです。注意持続力が動物を飼っている人のほうが長いというものが挙げられますし、他にもストレス後の抑うつを防ぐ要因にもなっています。また、動物の存在が、集団への参加のモチベーションにもなっています。

社会的効果は、動物を介してその人自身のお世話が行いやすくなるというもの。高齢者と施設職員など周囲の人とのコミュニケーションや良好な関係を築くのに役立ちやすいというのが挙げられます。動物を介して、スタッフとの間に温かさや是認といった欠かせない輪が広がり、社会的相互作用が促されます。とくにこの社会的効果が、アニマルセラピーの中でも注目を集めています。

高齢者が、自分が世話されるだけではなく犬猫の世話をすることによって生活リズムが整い、コミュニケーションやふれあいによって癒され、愛情を感じることによって意欲が高まるのです。生き物を飼うということは責任を伴うことでもあり、まだまだ課題は多いのですが、確実な効果が見込まれることがわかってきたため、今後はさらにアニマルセラピーを導入する施設が増えそうです。お年寄りと同時に、犬や猫も幸せに暮らすことができ、相互に長生きできれば理想ではないでしょうか

みんなの介護ニースより引用