2017.6.1

「夜間頻尿と動脈硬化の関係」

夜、おしっこで起きてしまう夜間頻尿。「単なる老化」と気にしない人も少なくないですが、心筋梗塞や脳卒中など深刻な病気につながる動脈硬化が隠れている可能性もあるので注意が必要です。

夜間頻尿と動脈硬化のカギを握るのが男性ホルモンの一つのテストステロン。テストステロンの分泌量は40歳を超えると顕著に落ち、うつやイライラといった精神的症状、性機能の低下など身体的症状が現れる男性更年期障害になりやすいと言われています。テストステロンは、血管の弾力性を保つ一酸化窒素の産生にも関わっています。テストステロン値が低下すると血管が硬くなり、コレステロールなどの不純物がたまりやすくなります。これが動脈硬化につながり、心臓に負担を掛けることになります。血の流れが悪くなると膀胱の組織も傷みます。すると膀胱が伸び縮みしにくくなり、ためることができる尿の量が減って、トイレの回数が増えます。動脈硬化が排尿状態の悪化、特に夜間頻尿と強い関係があることが分かってきました。

テストステロンの量が減る理由は老化だけではなく、米国の調査では太った男性もテストステロン値が低いことが分かってきました。脂肪細胞からテストステロンの分泌を抑制する物質が出ていることなどが要因とみられます。

テストステロンには抗肥満作用があり、中年を迎えてテストステロン値が下がると太りやすくなります。実際に太ってしまうとテストステロンの分泌をさらに抑える、という悪循環を招きます。

動脈硬化の恐ろしさは本人に自覚症状がないこと。気づかないうちに進行し、ある日突然、心筋梗塞などを起こして死に至ることもあります。夜3回くらいトイレに起きてしまうようなら泌尿器の疾患と、動脈硬化を含めた検査を受けることをお勧めします。

 

 

                         上毛新聞 健康より