2017.5.24

 

「受動喫煙」

医療費331億円 2014年度・厚労省推計

 

喫煙者が吸っている煙だけではなくタバコから立ち昇る煙や喫煙者が吐き出す煙にも、ニコチンやタールはもちろん多くの有害物質が含まれています。本人は喫煙しなくても身の回りのたばこの煙を吸わされてしまうことを受動喫煙と言います。

たばこを吸わない人が受動喫煙によって、肺がんなどになり余計にかかった医療費は2014年度の1年間で約3231億円にのぼることが、厚生労働省の研究班の推計で明らかになりました。

研究班は国の検討会が2016年度に発表した「たばこ白書」で、受動喫煙と病気との因果関係が「十分ある」とされる肺がん、虚血性心疾患、脳卒中の3疾患について分析しました。職場や家庭での受動喫煙を考慮し、40歳以上の患者数や、喫煙の有無による病気のなりやすさなどを基に推計しました。

その結果、受動喫煙によって肺がんになるのは約1万1400人で約335億円、虚血性心疾患は約10万1400人で約955億円、脳卒中は約12万9600人で約1941億円だったそうです。また受動喫煙による疾患で、患者が入院治療した場合、仕事の欠勤などによる生産性損失は年間約821億円になるとのことです。

研究班は喫煙者の医療費も推計しました。たばこを吸うことで胃がんや肺がん、虚血性心疾患などになって、かかる医療費は年間約1兆1700億円に上るようです。

調査を実施した東京大大学院特任の五十嵐准教授は「たばことの因果関係が確実な疾患に絞っても、これだけ大きな社会的損失があることが改めて示された。たばこに関しては経済損失だけでなく健康面への影響も大きいことを考慮して対策を検討することが必要だ」と話しています。

 

引用:毎日新聞、e-ヘルスネット