2017年2月16日

「低温やけど」とはカイロや湯たんぽなど、体温より少し高めの温度(44℃~50℃)のものに長時間触れ続けることによって起こるやけどです。皮膚の奥深くでじっくりと進行してしまうので皮下組織を壊してしまった場合は手術が必要となり感染症を起こしやすくなります。通常のやけどとは違い見た目にわかりにくい事や、痛みを感じにくい事から重症になり、治りにくい場合が多いので注意が必要です

【症状】やけどは皮膚がどの程度ダメージを与えられているかに応じてⅠ~Ⅲ度までの症状に分けられます。

  • Ⅰ度 表皮熱傷:皮膚が赤くなってヒリヒリする。腫れるが、数日で治癒する。
  • Ⅱ度 真皮熱傷:水疱ができ、皮膚が白っぽくなることもある。重症例では外科的治療が必要
  • Ⅲ度 皮下熱傷:皮膚が白っぽくなり水疱はできないことが多い。植皮など高度な外科的治療が必要

【低温やけどの原因で多いもの】
湯たんぽ、電気あんか、電気毛布、使い捨てカイロ…
他、高齢者が保温便座に長時間座っていた症例やスマートフォンを顔の下に置いて眠ってしまった症例もあります。

【低温やけどを起こす温度と時間】
比較的低い温度でも長時間触れると低温やけどを起こす危険性があります。
44℃:3~4時間 46℃:30分~1時間 50℃:2~3分

【低温やけどを起こしやすい人、起こしやすい部位】
皮膚の薄い高齢者、寝返りのできない乳児、知覚や運動機能に麻痺がある人
糖尿病など手足の循環が悪い人、泥酔している人、体の感覚の鈍い人
特に足は他の部位に比べて知覚が鈍く、皮膚のすぐ下に骨があることから血管が圧迫されやすく、身体が熱を分散しにくいので低温やけどになりやすいです。

【予防法】
湯たんぽ、電気あんか
肌に直接触れない。同じところにずっと当てない。専用のカバーや厚手の毛布でくるんでもやけどを起こす恐れがあるので就寝前に布団に入れて、就寝時には布団から出す。

電気毛布
就寝前に電源を入れて布団を温めたら、就寝時に電源をoffにする。

使い捨てカイロ
貼るタイプの使い捨てカイロは必ず衣服の上に貼り、同じ場所に長時間当てないようにします。また、貼ったまま眠らないように注意しましょう。貼った部分をサポーターやガードルなどで圧迫することのないよう気を付けましょう。使用上の注意を守り、こたつの中や暖房器具の近くでは急激に温度が高くなるため使用しないようにしましょう。

【対処法】
低温やけどになった場合、軽症、重症にかかわらず必ず医療機関を受診しましょう。
民間療法や自己判断では治しにくいやけどです。水疱ができている場合は水疱をつぶすと雑菌が入ってしまう恐れがあります。水疱はつぶさずに医療機関を受診して適切な処置を行ってください。

参考資料:日経新聞 ココカラファインより