2018.6.18

「50歳からの生活習慣が発病の別れ道 「認知症予防の日」」

「認知症は他人事」「自分はまだ若いから関係ない」と思っている人に、ぜひ知ってほしい記念日が新たにできた。6月14日が「認知症予防の日」に制定された。アルツハイマー型認知症を発見したアロイス・アルツハイマー博士の誕生日であることから、日本認知症予防学会が登録した。認知症は、現状では根本的な治療法がない。そのため発症の予防と、発症してからも進行を防ぐことが重要。一昔前までは「予防する方法はない」と言われていたが近年、予防に効果があるデータや研究が増えてきた。そんな中、予防研究に取り組む学会として、日本認知症予防学会が2011年に設立された。  「認知症って予防できるの?」同学会の理事長で鳥取大学医学部保健学、教授の浦上医師は、市民向けの講演会を開くとこんな声をよく耳にするという。浦上医師は、「まだまだ一般には認知症についての正しい知識が伝わっていないと実感しています」また 「認知症」の発症リスクとして、若年期では教育不足と指摘されています。世界では十分な教育を受けられていない人もいます。高等教育を整えることが将来の認知症対策には必要。中年期ではリスクになるのが、高血圧や肥満などの生活習慣病、さらに中年期のリスクとして注目すべきことが“難聴”が認知症リスクになる。聴力の低下は30代からゆっくりと進み、聴覚からの情報は、思考や感情の反応に直結するため脳の働きや認知機能に影響する。また聴力の衰えによって、コニュニケーションや社会的な活動が減ってしまう。加齢による難聴は治療法がないが、補聴器で聴力を補うことが対策になる。高齢期に入ると、喫煙やうつ病、運動不足、糖尿病が発症のリスクになる。若年期から高齢期までにこれらの危険因子を一つでもなくすことが、発症の予防に」と話す

同学会は認知症予防の啓発活動を広げるために、各地で予防を啓発するイベントを開催していく予定。ただ認知症の予防法には、まだ科学的根拠(エビデンス)が乏しいのも現状。同学会では「エビデンス創出委員会」を17年から始め、客観的な効果の実証を目指している。

週刊朝日より引用