2018.6.23

「社会的時差ぼけ」

多少の眠気や疲労感などを感じても、日常生活にすぐに支障は出ない。しかし、このような状態が続くと、十分な睡眠が取れずに仕事中に強い眠気に襲われたり、休日に睡眠不足を補おうと長寝をしてさらに生活リズムを崩したりする。

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の三島和夫睡眠・覚醒障害研究部部長は海外旅行の後に生じる「時差ぼけ」に似たこんな状態を「社会的ジェットラグ」と呼び、「慢性化すると、『体内時計』の乱れによる睡眠障害だけでなく、糖尿病などの生活習慣病や抑うつ病の発病率を引き上げる恐れもある」と警鐘を鳴らしている。

 

人間には毎日一定のリズムで起床や就寝をつかさどる体内時計が就寝と起床のタイミングや睡眠時間をコントロールしている。体内時計は、個人差が大きく、日ごろの起床時間は人によって異なる。最も極端な「早寝型」と「遅寝型」の間には約6時間のずれがあり、このずれの中で、頑張って早起きを続けている人の場合、心身両面での負担が蓄積されることも少なくない。特に、体内時計の起床・就寝時間が後ろにずれている「夜型」の人は、職場や学校の始業・終業時間のリズムに体がついていけずに少しずつ負担が重なり、やがて体調を崩してしまう恐れもある。「一日、一日の負担は大きくないので、ついつい『我慢できるから』と放置している人もおり短期間ならよいが、年単位で無理を続けていると問題が表面化する」と指摘する。  このような人が最初に陥るのが、休日の寝だめ。日頃の睡眠不足を解消するため昼近くまで寝てしまうため、体内時計が乱れてしまう。日曜の夜に明日の仕事に備えて、早めに床に就いてもなかなか眠りに入れないまま翌朝を迎え、寝不足になる。平日の眠気が週を重ねるたびに厳しくなり、休日になるとさらに寝だめをし、平日と休日の睡眠リズムの差異が大きくなり、夜型の傾向が強くなっていく。「この状態を放置したままだと睡眠リズムが完全に昼夜で逆転してしまうこともある。結果として、日常生活に大きな支障が生じ、睡眠障害として治療が必要になる」。こうならないためにも、自分の体内時計のタイプと日常生活のリズムとのずれの有無やその程度を大まかにでも把握することが大事。

休日の前の晩にいつも通りの時間に就寝し、朝は寝られるだけ寝てみる。一度、目が覚めても眠気が残っている場合は二度寝、三度寝をする。寝られるだけ寝た睡眠時間が平日の平均睡眠時間よりも3時間以上長い場合は、注意が必要なレベル。

 

平日・休日を問わずに就寝時間や起床時間をできるだけ規則正しくし、起床後には積極的に日光を浴びて体内時計の乱れを補正する。逆に夕方以降の光は夜型を強めるため、家庭照明も含めてできるだけ明るい光を避ける。就寝前には、パソコンやスマートフォンなどに触らない。「リラックスタイム」を設けるなどしましょう。

NHKの国民生活時間調査によると日本人の睡眠時間は戦後70年で約1時間短くなっている。起きる時間を変えられなければ30分早く寝るなどすることで時差ぼけも小さくなるそうです。健康の基本は規則正しい生活。休日もあまり遅くならないうちに起きて午前中にしっかり光を浴びるなど、平日と休日での生活サイクルを大きく変えないよう心がける事が大事だそうです。

時事メディカル ヘルスUP より引用