2005年に日本で初めての「天気痛外来」を開設した、中部大学生命健康科学部教授の佐藤純さんによると、気象病を引き起こすのは気温や湿度ではなく、気圧だといいます。“気象病”とは、具体的には、頭痛、膝痛、腰痛、古傷が痛むといった痛みのほか、めまい、抑うつ状態などが起こります。内耳の三半規管の根元に気圧センサーがあり、気圧が低くなると自律神経にストレス反応が起きて交感神経が優位になる・すなわち緊張している状態になる、これが気象病の原因です。気圧センサーの感受性は人によって異なるのですが、気象病を起こす人は内耳が敏感なので、体が揺れていないのに気圧の変化により感覚にズレが生じて脳が混乱するのです。

では、どうすれば気象病の症状を予防・改善できるのでしょうか?5つのコツがあります。

(1)「天気日記」をつける

気象病対策のアプリや家庭用の気圧計などを使って、毎日の天気、気圧、体調を記録し、最低1カ月間続けてみましょう。気圧と体調に関係があることが分かれば安心するでしょう。まず、その安心感だけでも症状が改善します。

(2)規則正しい生活を心がける

朝食を食べたり食べなかったり、睡眠時間が日によって違う、といった不規則な生活をしていると自律神経が乱れてしまいます。

(3)乗り物酔いの薬を飲む

前出の佐藤教授の天気痛外来では、治療の基本は「めまい薬」。内耳のリンパ液の循環を良くすることで、過敏になっている内耳の反応を抑えられるといいます。また、薬局などで市販されている乗り物酔いの薬でも効果があります。「ジフェニドール」などの成分は、内耳のリンパ液の循環を改善する作用があります。

(4)首のストレッチ

首の骨の横の動脈は内耳の動脈につながっています。したがって首の筋肉をゆるめて血行を良くすると、内耳のリンパ液の循環も良くなり、頭痛やめまいといった症状が抑えられます。

(5)運動をする

運動の習慣を持つと、自律神経のバランスが整いやすくなります。特にウォーキングや水泳など、負荷が少なく、長時間続けられる有酸素運動が効果的。心肺機能のアップや血圧が下がることに加え、ストレスの解消作用もあります。

平年だと梅雨は7月中旬まで続きます。梅雨ならではの気象病で辛い生活を送ることのないよう、上記5つを行い予防・改善していきましょう。

(日経Gooday編集部)