高温、多湿の気候に加えて、紫外線の強い梅雨時から夏にかけては、肌のトラブルに気をつけたい時期です。外気に直接ふれる頭や頭皮は、特に影響を受けやすく、炎症や湿疹が生じやすくなります。その1つが、脂漏性皮膚炎です。
 脂漏性皮膚炎は皮膚の分泌が多い場所(鼻の周辺や頭皮など)を中心に起こる皮膚炎です。炎症を起こして地肌が赤くなり、かゆみをともないます。皮膚が荒れてかさつき、細かく剥がれ落ちる状態になることも少なくありません。頭皮に症状がおこると、フケがたくさん出るようにもなります。
 脂漏性皮膚炎の原因として、従来はホルモンバランスの乱れ、ビタミンB不足、洗顔や洗髪によるもの(洗いすぎ、洗い残し)などが指摘されていました。そうしたことも要因ですが直接的な原因がカビ(真菌)であることがわかってきました。このカビはマラセチアといって、常在菌の1つです。ふだんは無害ですが、皮脂や汗などの分泌物が増えると、それらの成分をエサにして急激に増殖すると考えられます。
 症状が出やすいのは、鼻の周辺と頭皮ですが、人によっては首の周辺や胸、背中にも炎症が広がることがあります。頭皮の場合には、フケの量が増え、洗髪してもすぐにフケが出るといった症状もみられます。辛い刺激物を食べると、強いかゆみとフケが出ることもあります。
 脂漏性皮膚炎の治療には、一般に外用(塗り薬)の抗真菌薬が用いられます。抗真菌薬には、マラセチアの活性をおさえる効果があります。症状の程度により、抗生物質のほか、荒れた皮膚の回復のために尿素入りのローションやビタミンB、Cなどが一緒に処方されます。頭皮の場合は低刺激シャンプーほか、抗真菌剤の入ったシャンプーもあるので、医師や薬剤師に相談しましょう。
【自分で注意したいこと】
・脂っこい食事を減らす
  脂っこい食事を続けてとると、皮脂の分泌量が増え、マラセチアの増殖を助長することになります。
・ビタミンBとCを多くとる 
  ビタミンB群(特にB2、B6)とビタミンCは、皮膚の代謝を改善し、ダメージの回復を早めます。
・洗顔に気をつける
  刺激の少ない石鹸をよく泡立て、泡をそっとなでるように顔を洗いましょう。拭くときはタオルを軽く顔に押し当てるようにし、こすらないようにしましょう。
・洗髪に気をつける
熱いお湯をいきなり頭にかけないこと。抗真菌剤入り、あるいは刺激の少ないシャンプーを使い、爪を立てないようにし、指の腹で頭皮をそっとなでるように洗います。シャンプーの洗い残しがないように、よく洗い流しましょう(ただし、頭皮をこすらない)
・紫外線をさける
紫外線は、皮膚のダメージを促進します。帽子や日傘で日よけをしましょう。
・睡眠をしっかりとる
  睡眠不足も、皮膚の抵抗力を低下させます。夜更かしはやめましょう。
  
                (www.healthcare.omron.co.jp引用)