新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、外出を控えたり、イベントを中止したりする動きが広がっている。ただ、自宅でじっとしていては、筋力の低下や食事量の減少で、「フレイル」の悪循環も心配になる。今回は「フレイル講座・特別編」として、室内でできる運動や、生活する上での注意点を専門家に尋ねた。

ストレッチで肩の動きスムーズに
 椅子に座って、タオルを肩幅に合わせて持ち、両腕を上に伸ばした状態でスタート。まずは、上に伸ばした両腕を横へ倒す。腕や体の横が気持ちよく伸びているのを感じられる位置で、10秒。真ん中に戻して腕を下ろし、一呼吸置いて反対側も同様に。これを3セット。
 次に、タオルをピンと張ったまま、頭の後ろ側を通るように両肘を曲げる。「胸は開き、頭が下を向かないように注意します」。10秒数えたら元に戻し、3回繰り返す。

腹筋、太もも、お尻の筋肉を鍛えよう!
 「特に意識してほしい」と話すのが、腹筋と、太ももやお尻の筋肉だ。立ち上がったり、歩いたりする際に使い、活動の基本となるためだ。

 床や畳に横になり、ひざを軽く曲げて、両手はへその下へ置く運動では腹筋を鍛えられる。トイレを我慢するイメージでお尻にきゅっと力を入れ、2秒数えたら脱力する。これを10回繰り返す。
 力の入れ方が難しいが、「下腹がへこんでいたら正解。お尻の筋肉を触って、力が入っているのを確認してもいい」。お尻を少し浮かせた姿勢にすると、効果が高まるという。

 テーブルと椅子(キャスター付きでないもの)を使った運動は、太ももやお尻の筋肉を鍛えられる。腰掛けてテーブルに手を置き、立ったり座ったりを10回繰り返す。

 「ポイントはテーブルとの距離」。椅子をテーブルからやや離すと、立ち上がるときに前屈かがみの姿勢となるため、特にお尻に効く。椅子を近づけ、まっすぐ立ち上がるようにすると、太ももが鍛えられるという。
 (読売新聞 オンラインより 引用)

*フレイルは、厚生労働省研究班の報告書では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」2)とされており、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。