日に日に寒さが増してきました。風邪の予防など体調管理には十分気を配っていることと思いますが、空気が乾燥した冬のシーズン、感染症に要注意です。インフルエンザをはじめとするウイルスや病原菌は、免疫力が落ちた高齢者にとっては大敵であり、時に命の危険に関わるリスクともなりえます。

感染症は、手すりやドアノブを介して感染する接触感染、くしゃみ、咳、会話中の口角泡を介して感染する空気感染、そして食事によって起こる経口感染(食中毒)などがあります。
高齢者が感染するケースとして、大きく2つのケースが考えられます。
まずは、同居する家族が外から病原菌を家に持ち帰ってくるケースです。衣服や手にウイルスが付着したままの状態で調理をしたり、介助をすると、接触感染・空気感染のリスクが高まります。
もうひとつは、高齢者自身が外出した際に病原菌を持ち帰ってしまうケースです。仕事や学校がある家族と異なり、高齢者は外出する機会は少なくなりますが、外出先のドアノブや階段の手すりなど不特定多数の人が触れる箇所は実に多く存在します。デイサービスなどを利用している高齢者は特に注意が必要です。当然、事業者側も細心の注意を払い予防に努めていますが、サービスを利用する立場としても、感染しないよう、そして自分が他者に感染させないように細心の注意を払いましょう。

●感染症予防にもっとも有効なのが、手洗いとうがいの実践です。これは高齢者だけでなく、周囲の家族など一緒に生活する人も含め全員で取り組まなくてはならないことです。
●家の中の手すりやドアノブに市販のアルコールスプレーを噴射するなどして、こまめに消毒する習慣をつけましょう。また食事で感染することもあるので、包丁、まな板、食器については定期的に熱湯や台所用塩素系漂白剤などで殺菌するようにしましょう。
●下着やタオル、シーツも常に洗濯した新しい物を使用しましょう。普段気づかないところで皮脂や毛髪、唾液や嘔吐物などが付着している可能性もあり、そこから感染する危険性があります。
●冬の間は部屋を閉め切って暖房を長時間つけたままにしてしまいがちです。定期的に窓を開け、空気の入れ替えをすることも感染症予防につながります。
●空気感染などの他、口腔内に蓄積した細菌、微生物によって感染することもあるため、食後の歯磨きや入れ歯の洗浄も重要になります。
免疫力が落ちた高齢者の場合、完治に要する時間も長く、肺炎など命にかかわる病気を併発する可能性も十分に考えられるため、”時間が経てば治る”といった楽観的な考えは禁物です。元気に冬を乗り切り、温かい春を迎えるためにも、家族皆で感染症の予防対策に努めていきましょう。