下部内視鏡検査による偶発症

第5回の全国調査報告によると、生検を含む観察を目的とした下部内視鏡検査の件数は2.548.400件、そのうち偶発症の発生件数は313件で0.012%、死亡件数は21件で0.00082%でした。上部内視鏡にくらべて、発生頻度、死亡頻度とも効率です。

偶発症の内容は
穿孔184件(58.8%)
【小腸3件、盲腸3件、上行結腸6件、横行結腸6件、下行結腸12件S状結腸118件、直腸25件、不明6件】

前処置によるもの44件(14.1%)、出血(輸血もしくは入院)40件(12.8%)
裂創7件(2.2%)、その他38件(12.1%)

偶発症の内容は穿孔が最も多く、穿孔部位はS状結腸が半数以上を占めています。その他の偶発症として心筋梗塞や脳梗塞などの例も報告されており、検査に関連した脱水が起因となる可能性も考えられます。特に高齢者は脱水傾向に陥りやすく、十分な全身状態の観察のもと前処置から検査、治療までを進める必要があります。