2019.02.15

「手荒れ」に悩む医療現場  感染症対策に不可欠、手指の衛生

 

インフルエンザやノロウイルスの感染拡大対策として、最も重要な対策の一つがアルコール消毒剤による消毒や流水とせっけんを使った手洗いといった手指の洗浄だ。特に複数の患者と接触せざるを得ない医療現場では、二次感染を防ぐなど感染制御の観点から徹底が求められるのは当然だ。一方で、消毒を繰り返すことで皮膚表面の皮脂が奪われて乾燥が進むために手荒れがひどくなる。「手荒れの傷口が染みて十分に消毒や洗浄ができない」という現場の声もある。患者から医療者、医療者から他の患者への二次感染対策もあって手指洗いは欠かせないが、医療現場の悩みも大きい。入院患者3人を担当している病棟の看護師は1日60回、手洗いや消毒用アルコールの使用が求められる。それを守らないと院内感染の危険性が上がるが、スタッフの皮膚への負担は大きく手荒れなどに悩まされる。手荒れは痛みや染みの原因となるだけではなく、細菌やウイルスが付着しやすくなる。

 

手荒れの問題は病院など医療施設に限らない。介護施設はもちろん、家族の看護や介護に在宅で携わっている人でも、食事の提供の前後や排せつ処理の後、必要であれば体位交換ごとに手洗いや消毒をする必要があるからだ。

冬は乾燥しやすく、ただでさえ皮膚の保湿は必要となる。そこに乾燥を進行させる手洗いやアルコール消毒が加わるのだから、手荒れを防ぐには積極的な対応をしなければならない。重要なことは手全体へのケアだ。手のひらにばかり注意しがちだが、手の甲はより皮膚が薄いので、同様に気を付けたい。また指の関節や指と指の間、爪の周囲も比較的乾燥しやすい。

 

手荒れは最初から痛みやかゆみを感じたりすることはない。粉が吹いたように見えたり、かさかさするように感じたりする。このような状態なら保湿剤を使っての保湿で対応できる。手洗いや消毒のたびに塗るのは難しいので、就寝前にたっぷりの保湿剤を手のひらから甲、指先まで成分を浸透させ、血行をよくするためのマッサージをしながら塗り、皮膚の保護・保湿のために木綿の手袋をして就寝するのがいい。症状が続いたり、赤く腫れ上がったり、皮膚の割れ目から出血したりするなど症状がひどくなれば、皮膚科をためらわずに受診しましょう。

 

時事メディカルより引用