2019.01.09

「骨粗しょう症、男性も注意 糖尿病・喫煙者は高リスク」

 

高齢女性がよく発症することで知られる骨粗しょう症だが、実は高齢の男性も要注意だ。糖尿病や喫煙の生活習慣などがある男性はリスクが高いが、女性のように公的な特定健診の対象ではなく、認知度は低い。

骨粗しょう症の患者数は日本国内で女性が約1千万人、男性が約300万人とされる。全世界的にも男性に比べて女性の患者数が3〜4倍で、一般的には女性の病気として知られる。女性の場合、50代の閉経後にホルモンが激減し骨の密度が下がって発症するケースがほとんど。男性はホルモンの減少はゆるやかだが、病気や栄養障害が原因で起こることが多いという。

病気で多いのは糖尿病のほか、息切れやせきが続いて呼吸が苦しくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)特にCOPDでは70代の男性患者のうち、骨粗しょう症の発症率は7割におよぶ。骨粗しょう症を自覚する決め手には「身長低下」を挙げる。身長が数年間で2〜3センチ以上縮んでいると骨折している可能性が高いという。こまめに身長を測り、身長低下の傾向がみられれば主治医や整形外科に骨粗しょう症の相談をするようすすめる。

「男性がひとたび骨折すると死亡リスクや生活への障害の度合いが女性以上に深刻だ」と強調するのは、東京都健康長寿医療センターの森聖二郎医師。酒やカフェインの大量摂取、常習的な喫煙などで骨の質が悪化し、電話帳を数冊持ち上げたり、軽く転倒したりするだけで骨を折る高齢者がいるという。

骨折部位のうち、特に問題となるのが大腿骨頸部と呼ばれる太ももの骨折。一般的に男性の発生頻度は女性の3分の1だが、発生後の死亡率は男性の方が高い。森医師によると、骨折後に寝たきりになるのも男性がより多いという。メンタル面や家事の生活習慣など様々な要因が推測されるが、正確な理由は研究されていないという「男性は予後が悪く、再骨折したり持病を増悪させるなど負のスパイラルに陥りやすい。骨粗しょう症を放置せず、積極的に治療することが長生きにつながる」と警鐘を鳴らす。運動や食生活の改善のほか、骨を強くする薬物療法は効果が高いという。

超高齢化社会を迎え、高齢者人口の増加とともに男性の骨粗しょう症患者が一段と増えるとみられる。女性の病気だという思い込みを外し、男女問わず全世代で骨の健康に関心を持つ必要がある。

 

                      Gooニースより引用