2018.12.06

「骨粗鬆症」

骨粗鬆症は、骨の強度が低下し、ちょっとした転倒でも骨折しやすくなる病気です。骨は生まれてから生涯を通じて新陳代謝を繰り返すことが知られています。破骨細胞と呼ぶ細胞が古い骨を壊し(骨吸収)、骨芽細胞が新しく作る(骨形成)のを繰り返します。骨吸収が骨形成を上回ると、骨がスカスカになります。

骨の強さを決める要素は骨量(骨密度)と骨質の2つ。鉄筋コンクリートの建物に例えるなら、骨量がコンクリートで骨質が鉄筋と言われます。骨量は主にカルシウムの量で決まります。ただ、近年は骨質も注目されるようになってきました。骨密度は低くないのに骨折しやすいケースがありますが、これは骨質が影響しています。骨質とは主にたんぱく質の一種のコラーゲンの質のことを言います。コラーゲンは本来、柔軟性がありますが、体内の酸化や糖化によって劣化すると硬くもろくなります。加齢や睡眠不足、暴飲暴食など良くない生活習慣が続くと、細胞を傷つける活性酸素が増えます。さらに終末糖化産物と呼ぶ物質が増え、コラーゲンにべたべたつき、しなやかな構造を壊してしまうといいます。

 

骨粗鬆症の治療薬には、骨を壊す働きを抑える骨吸収抑制薬と、新しい骨をつくる骨形成促進薬とがあります。第一選択薬は、骨吸収抑制薬のビスホスホネート製剤であり、最も多く使用されています。ビスホスホネート製剤は、破骨細胞の働きを抑えて骨からカルシウムが引き出されるのを防ぎ、骨量(骨密度)を増加させ、骨折を予防する薬です。内服および注射製剤が広く使用されています。骨形成促進薬の活性型ビタミンD3製剤は、腸管からのカルシウムの吸収を高め、骨の石灰化を促進して骨量を増加させる(新陳代謝を高める)働きがあります。重度の骨粗鬆症ではビスホスホネート製剤に活性型ビタミンD3製剤を併用すると有効との報告があります。

 

NIKKEI STYLEより引用