2018.10.22

「自力でトイレ 寝たきり防止も」

介護の現場でおむつの使い方を見直す動きが出ている。安易におむつを使わないことで、自分でトイレに行けるよう促す取り組みだ。お年寄りの寝たきりなどを防ぎ、職員の負担も減るという。

 

富山県の特別養護老人ホーム射水万葉苑(定員110人)。排せつケアで先進的な取り組みをする施設として視察などが相次いでいる。同施設は2007年頃から食卓に野菜ジュースやスポーツドリンクなどの飲み物を並べ、いつでも好きな物が飲めるようドリンクバーのような場を設けた。水分補給をしやすい環境をつくることで、トイレに行きたい気持ちを促すのが狙いだ。自室から、食堂、トイレに移動する機会を増やし、筋力や食欲の向上、寝たきりの防止も期待している。

実際、7年前には6割以上がおむつを使っていたが、現在はほぼゼロ。何年も寝たきりだったのに、自分でトイレに行けるようになったり、おむつを使わなくなったりする人も増えたという。おむつの心配が少なくなったために、外出や一時帰宅が可能になり、家族との時間を過ごせる人が増えた。

一方、職員にゆとりができ、「お年寄りの状況をしっかり把握できたり、リハビリに付き添ったりする時間が取れるようになった」と、同施設の川口介護長は話す。

 

おむつの使い方を見直したのは、「安易におむつを使うことが、利用者の心身衰弱につながっているのではないか」と考えたからだという。長期間、必要以上におむつを使い続けたことで、トイレに行きたいという気持ちがなえたり、尿意などを感じなくなってしまったりした利用者も少なくなかったという。トイレに行かなくなることで体を動かす機会も減少。食欲もなくなり、かむ力やのみ込む力が急速に低下して、寝たきりにつながった例もあった。川口介護長は「施設側の都合を優先させて、トイレに自分で行く力を衰えさせてしまった」と振り返る。

おむつの使い方など排せつケアの重要性については、厚生労働省も注目している。同省は今年4月から、一人ひとりのおむつの使用状況を再検討した介護施設に手厚い報酬を出すようにした。同省の担当者は「お年寄りの生活の質を高めるうえでも排せつケアのあり方は大切。適切なケアによって、できるだけ自力に近い形で排せつができるようにしてくれれば」と話している。

 

読売新聞より引用