2018.5.18

「無糖炭酸水について」

5月も半ばを過ぎ、熱中症に用心する必要のある暑さの日も出てきました。脱水を防ぐために水分補給は欠かせません。スポーツドリンクや水道水、ミネラルウォーターの代わりに、最近は糖分を含まない「無糖炭酸水」を飲む方も多いようで、市場も伸びているそうです。無糖炭酸水は、アルコールの割り材として、ハイボールブームを背景に販売数が増加したといわれていますが、現在では炭酸水を直接飲用する習慣が広まり、フレーバー入りの炭酸水など、その種類は増える一方です。気になるのは健康に対する影響です。最新の論文を基に医学博士の大西睦子氏が考察した結果が記事になっていたので、ご紹介します。
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まず、炭酸水を水と同じように水分補給に使ってもいいかという点ですが、炭酸水は、炭酸ガスを含む水で、通常の水と同じように体内に吸収されます。胃の中でガスの気泡が拡大するので、通常の水を飲んだときより満腹感を強く感じ、食べ過ぎ予防にもなります。ただし、運動する場合は、多くの水分補給が必要になるので、炭酸水より普通の水を飲んだほうがいいでしょう.
次に、骨への影響です。「コーラが骨密度を減らす」という説から、炭酸水も骨に悪影響を与えるのではないか、と考える人もいますが、実際には炭酸ガスを溶かした飲料を飲むことと、骨密度の変化には関係がないことが分かっています。2006年に報告された、米国のフラミンガム研究という疫学調査では、高齢の女性において、定期的にコーラを飲むと骨密度が少し減少しましたが、コーラ以外の炭酸飲料を飲んでも骨密度に影響はありませんでした。
このほかの炭酸水と健康に関する疑問点として、「胃を刺激するのではないか」「塩分が多いのではないか」「歯のエナメル質を溶かすのではないか」といったものがあります。胃への刺激に関しては、炭酸水を飲むと気泡が胃で拡大するため、胃酸が逆流する人、過敏性腸症候群のある人、胃潰瘍のある人には、炭酸水は適しません。 塩分(ナトリウム)は、ほとんどの炭酸水に含まれていないか、含まれているとしても微量です。例えば、「ペリエ」100mLには、ナトリウムが1.18mg含まれており、ペリエを500mL飲むと、食塩を15mgほど摂取することになります。ちなみに、厚生労働省が推奨する、1日当たりの塩分摂取の目標量は男性8000mg未満、女性7000mg未満です。エナメル質については。炭酸水の多くは酸性のため、カルシウムを溶かすことが懸念されています。英国の研究者の報告によると、水よりは酸性度がわずかに高いものの、炭酸水で歯のエナメル質が溶ける可能性は非常に低く、糖入りの清涼飲料水に比べると、100分の1以下であるといえます。
以上から、炭酸水による体への影響はほとんどなく、基本的には水の代用としても活用できます。ただし、糖分や風味が加わった炭酸水は、清涼飲料水と同じでカロリーに要注意です。
(参考:日経Gooday)
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上記の記事とは別に、インターネット上では、炭酸水を飲むと「ダイエットになる」「疲労回復する」という情報もあふれていますが、一方それらの効果について「臨床研究がなされているわけではない」と疑問を呈する記事も出回っています。過度な期待を持っての過剰な摂取は避け、適度な飲料で水分補給をしていきましょう。