2018.05.14

「薬疹とはどんな病気?」

薬疹は、薬が原因で発疹が出たものをいいますが、発疹の他にも発熱、肝臓や腎臓などの内臓障害が起こることもあります。また、重症なタイプでは生死に関わることもあります。発疹は痒いことも痒くないこともあります。発疹がひどくて傷(びらん)になっているときは痛みを感じます。

発疹とは皮膚にできた変化(皮疹)と粘膜(目、口、鼻、陰部など)にできた変化(粘膜疹)とを合わせていいます。薬疹は発疹の種類によって型を分けることがあります。具体的には、紅斑丘疹型(赤い斑点やぶつぶつが出る)や蕁麻疹型(虫刺されのような膨れた赤みが出る)、固定薬疹(同じ薬を飲むと毎回同じところが赤くなる)などです。重症なタイプには、中毒性表皮壊死症、スティーブンス・ジョンソン症候群、薬剤性過敏症症候群が挙げられます。
薬疹は皮膚にさまざまな変化を起こすので、薬疹で起こりうるタイプとして知られた発疹が見られたときには、常に薬剤が原因となっていないかを考える必要があります。薬疹はそのメカニズムによっても分類されます。大きく分けるとアレルギー性のものと非アレルギー性のものです。

【アレルギー性】
●1型アレルギー(即時型アレルギー):IgE抗体を介する反応です。薬剤がからだの中に入って短時間で起こり、蕁麻疹型の薬疹がこれに当たります。
●2型アレルギー(細胞傷害型アレルギー):薬剤が結合した細胞に対する抗体ができて細胞が傷害を受けるものをいいます。
●3型アレルギー(免疫複合型アレルギー):抗原と抗体とさらに補体が結合した免疫複合体が組織に沈着するもので、代表的なのは血管が侵されるものです。
●4型アレルギー(遅延型アレルギー):特定の抗原に反応する抗体を産生するようになったリンパ球の一種(T細胞)が炎症を起こすものです。アレルギー型の接触性皮膚炎やスティーブンス・ジョンソン症候群など多くのものがこれに当たります。
【非アレルギー性】
アレルギーとは関係ない、薬の作用そのものによって薬疹が起こることがあります。期待していない作用なので「副作用」と言えます。

薬疹に対しては、一般に、ステロイドの塗り薬やかゆみ止めの飲み薬が使われることが多いですが、重症の場合にはステロイドの内服や点滴投与を行うこともあります。
薬には多くの種類があり、どんな薬でも薬疹は起こりうると考えられます。治療で最も大切なことはまずその薬剤の投与を中止することです。内服中止後数か月以上して出てくる薬疹もあるので、症状が出たらすぐに医療機関を受診しましょう。

MEDLEより引用