2018.04.12

「緑内障」

中途失明の原因の1位である緑内障の患者数は40歳以上で20人に1人とされています。緑内障とは視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気で、進行すると失明に至ることもあります。視力検査だけでは発見しにくく、眼底検査などを受ける必要があります。緑内障の進行は常に一方通行であり、喪失した視野や視力を治療によって取り戻すことができません。そのため早期発見することが重要な病気です。
人は右目の視野が欠け始めても、左目でも物を見ているので、片方の視野が欠けた分を脳が補ってしまいます。そのため、緑内障が末期になるまで視力は保たれています。“見えないことが見えない”ことがこの病気の恐ろしさです。徐々に病気が進行しているとき、「視力は良いのに何だか見えにくい」ということがあっても、老眼や目のかすみと思ってしまうことが多いのです。そのほか「虹が見えるように感じる」「夜になると少し頭が痛い」などといった自覚症状が出る人もいますが、はっきりと目の病気であるという疑いがもてるような症状はわずかです。
緑内障の原因はまだはっきりしたことはわかっていません。しかし、眼球の内圧である眼圧を下げると緑内障の進行を抑制できることから、眼圧に原因の一つがあるだろうと考えられています。緑内障になりやすいリスクとしては「近視」や「遺伝的要因」が大きなものと考えられています。それ以外には「喫煙」「ストレス」もリスク因子として考えられています。
緑内障の発見には、まず眼底検査を受けることをおすすめします。眼底検査で目の奥の視神経がダメージを受けているという所見が出れば、緑内障になりやすいと考えられ、さらに視野に関わる詳しい検査も行います。視野の4分の1程度が欠けていてもほとんどの人が気づかず、視野の半分ほどが欠けてやっと違和感を持ちます。特殊な機械を使った検査では、自覚していない視野の欠損を発見することができます。緑内障では眼圧が異常であっても正常であっても、眼圧を下げる治療に効果があります。早期発見されれば多くの場合、眼圧を下げる点眼治療のみで不自由なく生活を送ることができます。点眼治療で改善が見られない場合は、眼圧を下げるための手術を行うことがあります。
緑内障は何よりも早期発見が重要ですので、目の不調を少しでも感じたら、老眼や目の疲れと決め付けず、早めに眼科を受診しましょう。

読売新聞、日本眼科学会より引用