2018.03.28

「ギラン・バレー症候群ってどんな病気?」

ギラン・バレー症候群とは、運動神経が障害され、両手足の筋肉が低下する病気です。日本では、人口10万人あたりに年間1~2人が発症すると推定されています。これは、年間2,000人以上が発症している計算になり、難病(特定疾患)の中では発症率が高い病気です。

【発症しやすい人】
ギラン・バレー症候群の平均発症年齢は39歳ですが、赤ちゃんからお年寄りまで、年齢を問わず誰もが発症する可能性があります。特に、若年成人(15歳~30歳前後)と高齢者がかかりやすいといわれています。また、女性よりも男性の方がやや発症しやすいようです。
【症状:初期】
・手のひらや足の裏がしびれる・両手足の筋力低下・顔の筋力低下・物が二重に見える
・食べ物が飲み込みにくい など
どの部位に症状が出ても、発症して1~2週間で急速に筋力低下が進行し、多くの筋肉に脱力をきたします。
【症状:進行時】
・筋力低下による運動障害(歩行ができない状態にいたる場合もある)・顔の筋肉を動かせない
・球麻痺症状(話しにくい、ものを飲み込みにくいなど)・呼吸が苦しい など
なかには、呼吸ができなくなり人口呼吸器が必要になったり、全身の筋肉が動かず寝たきりになったりと重症化する場合もあります。
発症してから2~4週以内に症状が最も悪化することが多く、その後は徐々に回復し、3~6ヵ月前後で寛解することが多いようです。
【原因】
はっきりとした原因はわかっていませんが、免疫システムに異常が生じ、体が自分の組織を攻撃する自己免疫疾患のひとつとされています。発症する1~3週間前に風邪を引いたり、下痢になったりすることが多いことから、ウイルスや細菌による感染が引き金になると考えられています。
【検査方法】
①神経学的診察:脳神経、運動系、感覚系、反射など様々な点から診察を行うものです。
②髄液検査:腰椎の間に注射針を刺して髄液を採取し、たんぱくや糖、細胞数などを調べる検査です。発症して1週間以上経つと、たんぱくの上昇がみられるようになります。
③血液検査:ギラン・バレー症候群の場合、血液中に「抗糖脂質抗体」が検出されます。
④神経伝導検査:末梢神経に電気刺激を与え、伝達速度を測定することで、末梢神経の状態を確認する検査です。
【治療方法】
症状が最も悪化する1ヵ月の間に、適切な治療を行うことが非常に重要だと考えられています。治療法は、「免疫グロブリン大量静注療法」と「血漿交換療法」の2つがありますが、日本の健康保険の範囲内で治療を受けられるのは、現在のところ「血漿交換療法」のみです。
※血漿交換療法:血液中に含まれる病気の原因物質を取り除く治療法です。

ギラン・バレー症候群は、発症してから症状のピークを迎えたあとは、徐々に回復していきます。患者さんの約8割が、6~12ヵ月ほどで完治します。しかし、1~2割の患者さんには後遺症が残り、中には亡くなる方もいらっしゃいます。症状がピークを迎える1ヵ月の間に適切な治療を行うことが大事な病気だということをしっかり覚えておきましょう。

ドクトル大学引用