2018.02.16

「延命治療を望まない終末期の高齢者の蘇生について」

在宅医療の普及で自宅や施設で最期を迎える人が増え、家族に蘇生中止を求められた救急隊が苦慮するケースが出てきています。調査はアンケート方式で、17年11~12月、東京消防庁と政令市・県庁所在市の消防局・消防本部の52機関を対象に実施。全ての機関から回答を得ました。
過去の蘇生中止の有無について、約4割にあたる20機関が「ある」と回答。いずれも家族や介護施設の職員に蘇生中止を要望され、医師の指示に従って処置を取りやめていた。患者本人が中止の意思を書面に残していたケースもあった。
一方、25機関は蘇生中止の事例が「ない」と回答。「119番で出動している以上は家族を説得して搬送すべきだ」(九州地方の機関)などとして、救命を続けていた。残る7機関は「把握していない」とした。
消防法などは、救急隊は死亡が明らかな場合を除いて傷病者の応急処置を行い、病院へ搬送すると定めています。蘇生中止については触れておらず、総務省消防庁は「中止しても法令違反には当たらない」との立場ですが、事例のない機関の中には「民事訴訟のリスクがゼロではない」(近畿地方)と懸念する声もありました。
8割以上にあたる44機関が、蘇生中止に関して「地域によって死のあり方に差異が生じるのは望ましくない」などと統一的なルールの必要性を指摘しています。
蘇生中止を巡っては、学会などの場で議論となってきた経緯があります。日本臨床救急医学会は昨年春、蘇生中止の手順を初めて公表。これを受け、救急隊の具体的な活動をこれに準じるよう指示した機関もあります。
救急医療に詳しい有賀徹・労働者健康安全機構理事長は「救命を前提としてきた救急現場が、社会の変化に対応できなくなっていることの表れ。救急搬送のあり方を見直す時期にきている」と指摘しています。
終末期の患者に対する治療については、厚生労働省が3月の公表を目指し、医師、看護師らに向けた終末期医療指針(2007年策定)の改定作業を進めています。同省は「改定後の指針の方向性に沿った形で、地域で議論を進めてほしい」としている。
ここでの【 蘇生処置 】 とは
心肺停止状態の人に、心臓マッサージや人工呼吸、電気ショックなどを行って救命する行為。救急救命士は医師の指示を受けて、気管挿管や薬剤投与など、より高度な処置ができる。

社会の変化に応じて、当院でも看取りについて患者様と話し合いながら自分の最期をどのようにするのか、といった内容を書面で残すようになってきています。それぞれの人が、自分の最期を家族と話し合い決めておく必要性を改めて感じています。今までは、病院に救急搬送された患者様は救うのが当たり前の時代、ですが、これからは意思表示のある方については蘇生せず、静かに最期を看取るといった考え方も救急現場では必要になってくるのでしょう。地域によっての死の在り方の差異について統一するにはまだまだ議論が必要ですが、時代に沿って対応できるように議論を重ねていってほしいし、見守っていきたいと思っています。

ヨミドクターより引用