2018.01.19

阪神大震災から22年たちました。

大災害時に心身両面で被災者に寄り添う「災害看護専門看護師」

災害看護専門看護師は、日本看護協会が2017年12月に初めて認定しています。学べるのは全国3大学院のみで、福井大では14年度に専門課程を設けています
災害専門看護師の黒田さんは阪神大震災後、勤務先の病院を辞めて神戸市の仮設住宅に移り、高齢者宅を一軒ずつ回って話を聞き、孤独死を防ごうと長年活動した看護師です。
11年の東日本大震災直後には、看護師2人でレンタカーを借りて東北に走り、出発前の買い出しでも、お年寄り向けのおむつや下着も忘れませんでした。「病気や体調を聞くだけでなく、一人の人間としての生活ぶりを把握して」。孤独死が起きた阪神大震災の教訓を若い看護師たちに伝え、暮らしの現場に飛び込むような災害看護を自ら実践してみせました。

2人の看護師が中国の四川大地震をはじめとする国内外の被災地で目の当たりにしたのは、無秩序にごった返す現場で、目の前のことへの対応で頭がいっぱいになっている支援関係者たちの姿だったそうです。「関係者に適切な役割を与え、中長期的な視点で活動するリーダーが必要」と痛感した。
そこで、看護系大学の組織に働きかけ、養成カリキュラムを策定。災害現場で直面する多様な課題に対応するため、他の専門看護師とは違って、幅広い分野への習熟を求めました。必要となる技術は▽保健福祉関係者との調整や手配▽仮設住宅での睡眠や排せつを含めた健康管理▽ストレスの解消や災害関連死、孤独死の防止▽看護師・保健師のケア――と多岐にわたります。
豊富な現場経験も身に付けてもらおうと、学生たちには、東日本大震災の被災地の仮設住宅で実際に生活させてみたり、熊本地震の被災地では避難所に入り、地域コミュニティーの変化を実感させようとしたりしました。「経験を重ね、そのうえで様々な人との信頼関係を構築し、問題を解決していける人間力を養うよう心掛けた」と振り返っています。
◆災害看護専門看護師 専門看護師は日本看護協会の資格認定制度の一つです。特定の看護分野で高い知識や技能を持った看護師を、同協会が審査の上、認定する資格。「がん」「精神」「慢性疾患」など13分野あり、「災害看護」は2016年に加わりました。

阪神大震災から23年、今や仮設住宅も撤去する時期となっていますが、まだまだ経済的に厳しい方や転居したくない人、健康上の問題を抱えた人などは退去すること自体が難しい現状となっています。
金銭的な問題についての解決策は行政や各個人に任せるしかありませんが、心のケアについてはどんな人でも行えるのではないかと思います。こんな現状を忘れず、震災を後世に伝えていけるように何かできることを探していきたいと思っています。

  引用;読売新聞より