2017.7.21

「エレベーター事故」

香川県高松市内の商業施設で10日、エスカレーターで車椅子が転倒し、後ろにいた76歳の女性が巻き込まれて死亡する事故がありました。エスカレーターでの車椅子利用は法令で禁じられていませんが、業界団体は「非常に危険」と注意を呼びかけています。
香川県警によると、10日午前10時40分ごろに事故は発生しました。エスカレーターは高低差約5メートル幅約1メートルで、車椅子利用を禁じる直接的な注意書きはなかったそうです。無職男性(81歳)が妻(79歳)を乗せた車椅子を後ろから支えて3階で降りる直前、段差に前輪が引っかかり、バランスを崩し、2人は車椅子ごと転げ落ち、少し後ろの女性も巻き込まれて転落しました。女性は出血性ショックで死亡し、夫婦も重軽傷を負いました。県警は過失致死容疑で調べています。
夫婦は車で来店し、男性が施設の車椅子を借りました。現場近くにエレベーターがあったそうですが、男性は「何も考えずに乗ってしまった」と話しているといいます。
日本エレベーター協会(東京)は「車椅子をエスカレーターに乗せるのは聞いたことがない。やめてほしい」と訴えています。国土交通省も少なくともこの数年間で同様の事故は把握していないといいます。
一方、香川県社会福祉協議会は、車椅子の介助手引の中でエスカレーター利用時の注意点をイラスト入りで掲載していました。担当者は「エレベーターのない建物もあり、安全に使う方法を示した」とのことですが、事故を受けて削除しました。日本身体障害者団体連合会(東京)の担当者は「エレベーターを使ってほしいが、ない所でどう移動するかは難しい」と話しています。
事故が起きた商業施設の利用者からは「危険で、信じられない行為だ」との批判の声が上がる一方、ベビーカーでエスカレーターを利用することもあるという30代女性は「エレベーターまで移動するのが不便という気持ちも分かる」と話しました。日本エレベーター協会はベビーカーでの利用も「絶対にしないで」と呼びかけています。
毎日新聞 2017/7/14記事
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老夫婦は店内で車椅子を借りたとのことであり、使い慣れていなかった可能性もあります。亡くなられた方も、加害者となってしまった老夫婦も、車椅子の貸し出しをしていた店も、皆が傷ついてしまいました。車椅子の普及にともない、今まで想定していなかった事がこれからも起きるかもしれません。交通ルールと同じように、誰もが正しい知識を受けられる機会が学校などの場で必要になってくる時代なのかなと思いました。