2017.5.1

「アルコール規制」

今年4月、厚生労働省に、『アルコール健康障害対策推進室』という部署が新設されました。それを受けて、NEWSポストセブンが、「タバコの次は酒の規制がすすむのかもしれない」という記事を出し裏面参照、インターネット上で話題になりました。今回さらにそのことを受け、実際はどうなのか厚労省の担当者に取材した別の記事があったのでご紹介したいと思います。

 

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話題の発信源になったのは、NEWSポストセブンの記事「呑んべぇ天国の日本で飲み放題禁止、酒類広告規制の動きも」(4月17日掲載)だ。この中では、「タバコの次は飲酒規制だ」といった厚労省内部の声や「厚労省にアルコール健康障害対策推進室という部署が新設された。国際的に広がるアルコール規制を日本でも推進するためだ」と最近の動向を紹介している。

この記事を受けて、ネット上で「すでに面白くない世の中になっているけど、更に面白くない世の中になるね」「ホントに厚労省って・・・ろくなことをせんな」といった批判的な声が多数あがった。また、少なからず、「酒絡みの事故や事件は多いし、日本もアルコール規制していいんじゃない」という賛同の意見もあった。

たしかに、世界的にアルコールの有害摂取が問題視されている。WHO(世界保健機関)の総会で2010年、「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」が採択された。この中では、アルコールの多量飲酒による疾病を10%削減するという目標がかかげられている。こうした動きを受けて、日本でも2013年、「アルコール健康障害対策基本法」が成立。2016年には、対策の基本計画がまとめられた。そして今年4月厚労省が「アルコール健康障害対策推進室」を設置した。この推進室はいったいどんな役割あるのだろうか。

同室の担当者によると、もともとは各省庁でアルコール対策をおこなってきた。たとえば、厚労省はアルコールの過剰摂取による肝硬変や生活習慣病について、文科省ならば未成年飲酒について、警察庁であれば飲酒運転の問題について、それぞれ取り組んでいる。「そのとりまとめを内閣府でおこなっていたのですが、法律・基本計画のスキームに基いて今年4月のタイミングでその機能を厚労省に移管することになったのです。」(同担当者)

では、はたして本当に、酒は規制されようとしているのか。担当者は「アルコールの社会的影響についてはありますが、少なくとも現時点で、酒量や販売の規制までの議論はありません。また、オリンピック対策や、アルコール対策で医療費を抑えるといった狙いもありません」と釈明する。同担当者によると、酒の規制は、タバコ以上に経済的な影響があるため「科学的データや国民的議論がないままに議論をすすめるということはない」という。また「WHOの努力目標も、アルコールの摂取自体を減らすということではなく、有害な摂取の仕方を減らしていこうというものです」と付け加えていた。

転載:弁護士ドットコム2017.4.20 「えっ、酒も規制強化なの」 厚労省がアルコール対策室設置で疑心暗鬼に…その狙いは?

 

【参考]今回の議論の元になった記事:  NEWSポストセブン(4月17日掲載)

「呑んべぇ天国の日本で飲み放題禁止、酒類広告規制の動きも」

「タバコの次は飲酒規制だ」──厚労省内部からそんな声が聞こえてきた。同省は飲食店や公共の場所での喫煙を全面禁止する受動喫煙防止法案(健康増進法改正案原案)を3月にまとめ、今国会での成立を目指している。打撃を受ける飲食店や旅館業は反対を訴えているが、厚労省は「屋内全面禁煙は東京五輪に向けた国際公約」として押し切る構えを崩していない。

その次に狙っているのが酒の販売から飲酒まで制限するアルコール規制なのだ。日本は世界的に見ても酒の規制が極めて少ない“呑んべぇ天国”だが、「まさか日本に禁酒法の時代が来るわけがない」とタカをくくって花見酒に浮かれていると痛い目を見る。

国民が例年より遅い桜の開花を待ちわびていた4月1日、厚労省に「アルコール健康障害対策推進室」という部署が新設された。国際的に広がるアルコール規制を日本でも推進するためだ。

タバコ規制と並んでアルコール規制は世界的な流れ。喫煙禁止の動きが急速に強まったのは、2003年のWHO(国際保健機関)総会で採択された「たばこ規制枠組条約」がきっかけだったが、アルコールについてもWHOは「世界で毎年約330万人が死亡している」として2010年に「アルコールの有害な使用を減らすための世界戦略」を採択した。

その中で各国が取り組む酒害対策の例として「酒の安売り禁止」「飲食店での飲み放題禁止」「酒類の広告規制」などをあげ、酒の値段の引き上げ(酒税の税率アップ)、公共の場所での販売規制などが推奨されている。すでに世界では欧米はじめ、シンガポール、インド、タイなどアジア諸国にも規制の動きが急速に広がっている。

日本も2013年に「アルコール健康障害対策基本法」を制定し、アルコール健康障害対策基本計画をまとめた。これは依存症対策などが中心だが、政府はそれに関連して昨年5月に改正酒税法を成立させ、ディスカウント店などの酒の「過剰な安売り」の規制に乗り出した。広告を規制し、高い税率を課して価格を大幅にあげ、段階的に販売を規制していこうというのはまさにタバコ規制と同じやり方だ。           (週刊ポスト2017年4月28日号掲載)

 

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話題に出たポストセブンの記事を読むと、「厚労省が今回チームを立ち上げたのはアルコールの規制を具体的に進めているからに違いない」というようにややセンセーショナルに書いてあります。一方、先ほどご紹介した記事では、「担当者に直接聞いたけどまだそこまでの議論はされてないよ」、という少し冷静な内容です。今後どうなっていくかはわかりませんが、興味ある話題なので、2つの記事を合わせて読んだ上で政府の動きに注目していきたいと思いました。