◆転倒の頻度が多い
厚生労働省老健局(平成22年)の調査によると、65歳以上の介護保険非認定者のうち「23,3%」の方が過去1年の間に転倒経験があったと報告しています。
◆介護状態の原因
介護が必要になった原因の第5位が「転倒・骨折(10.2%)」であることが挙げられます(上位から脳血管障害、認知症、高齢による虚弱、関節疾患に次いで5位)。
超高齢化がすすむ総務省統計局(2017)の発表によると、65歳以上のご高齢者人口は3,471万人で、日本の人口の「約30%」にもなります。2025年に向けて高齢化率が高まる中で、高齢者のいつまでも元気に生活していけるように、平均寿命を伸ばすだけでなく、転倒を予防し、健康寿命(介護や介助が必要なく日常生活が送れる状態)を延伸させる取り組みが重要となります。
●ご高齢者が転倒しやすい場所はどこか?
内閣府(全国の60歳以上の男女の約2,000名の面接聴取)の報告によると、ご高齢者の転倒場所は「庭」が最も多く、次いで「居間・茶の間・リビング」「玄関・ホール・ポーチ」「階段」「寝室」ということがわかっています。
屋外での転倒が多いように思えますが、全体を見てみると「室内」での転倒の方が多いことがわかります。また、屋内では「階段」や「お風呂」が滑りやすい環境、つまずきやすい環境のため転倒も起こりやいのではと言われていましたが、実は「居間・茶の間・リビング」での転倒が多いようです。ご自身で意識的に転倒に注意している場所よりも、無意識に生活している場所の方が足元に注意が払えず、つまずくことが多くなっているようです。ご高齢者の方に転倒予防として指導する場所は、屋内の中でも特に「居間・茶の間・リビング」で足元に注意するように声かけをしていくことが重要となります!
●高齢者の転倒の原因
高齢者の転倒の原因には「内因性」と「外因性」に大きく2つに分類することができます。
内因性の原因
転倒の原因である内因性リスクには、身体的特徴に関連する能力または疾病・疾患、薬剤などがあります。
・認知障害:注意機能低下などの影響により転倒など
・視力障害:白内障などの視力低下によりつまずき・転倒
・感覚障害:足の裏の感覚障害により転倒など
・筋力低下:太もも、お尻などの筋力低下によりつまずき・転倒など
・バランス能力低下:歩行時のふらつき転倒など
・Dual-task(二重課題)遂行能力の低下
・低栄養:低ビタミンD欠乏などによるサルコペニアの影響で転倒
・薬剤性:眠剤の服用によるふらつき・転倒など
・めまい、起立性低血圧:ふらつきによる転倒など
外因性の原因
転倒の原因である外因性リスクには、床や手すり、段差、部屋の明るさなどの環境に起因するものがあります。
・床:絨毯やコードに引っかかるなどのつまずき・転倒など
・段差:玄関の上がり框、敷居の段差につまずき・転倒など
・明るさ:夜間に部屋が暗く転倒など
・ベッド柵:ベッドからの立ち上がり時に転落・転倒など
・衣類:畳の上で靴下が滑り転倒など
その他にも「過去の転倒歴」や「歩行補助具の使用」は転倒の要因として注意しておきたい項目となりますので注意していきましょう。              
 
                            (引用;https://rehaplan.jp/articles/)