実際には何もないのに、小さな虫が飛んでいるように見えたり、糸くずのようなものがフワフワ浮いて見えたりする症状のことをいいます。浮遊物は黒を始め、灰色や透明であることが多く、形状は人によって見え方が異なります。原因は先天的なものもありますが、加齢などによって眼球の中の硝子体(しょうしたい)と呼ばれる部分に濁りが生じ、その影が網膜にうつることが主な原因です。

加齢による硝子体(しょうしたい)の老化
網膜のうしろにあり、眼球の4分の3をしめる硝子体が加齢によって濁ることが、飛蚊症の原因のほとんどを占めます。加齢による飛蚊症は生理現象の一つなので、心配はいりません。

先天的な体質による飛蚊症
まれに、生まれつき硝子体が濁っていることがあります。こ

飛蚊症の原因となる主な疾患
糖尿病の合併症の一つ、糖尿病網膜症が進行して眼底出血を起こすと、黒や赤の点や、糸くずのようなものが見える飛蚊症が起こることがあります。同時に、目のかすみ、視力の低下がみられることがあります。

飛蚊症(ひぶんしょう)をともなう疾患

◎後部硝子体剥離
網膜と硝子体が、加齢や強度近視などの原因によって分離し、徐々に離れていく疾患です。剥がれた硝子体の一部が網膜に映って、飛蚊症が生じます。

◎網膜裂孔(もうまくれっこう)
網膜が裂け、穴が開くのが網膜裂孔です。

◎網膜剥離(もうまくはくり)
網膜が眼底から剥がれる疾患です。
網膜剥離には、網膜裂孔から進行する原性網膜剥離と、突然網膜が剥がれてしまう症候性網膜剥離があります。

◎ぶどう膜炎
虹彩・毛様体・脈絡膜をまとめてぶどう膜と呼びます。
細菌感染や免疫異常などが原因となって炎症を起こすのがぶどう膜炎です。

加齢による飛蚊症は誰にでも起こりうるものですが、急に浮遊物の数や大きさが増したときや、頭痛や目の痛み、目をつぶっていても光がチラチラ見えるような症状が同時にみられる場合には、必ず眼科で診察を受けましょう。

(武田コンシューマーヘルスケアより引用)