「平成の最悪の水害」といわれた昨夏の西日本豪雨。死者200人以上という甚大な人的被害は
最適なタイミングで避難できなかった「逃げ遅れ」の課題を浮き彫りにした。
防災情報を実際の避難行動につなげるため、今年5月から水害・土砂の災害リスクに応じてとる
べき行動を5段階で表示する「警戒レベル」の運用が始まった。

水害・土砂災害の警戒レベル
 警戒レベルの運用で変わるのは避難行動の「伝え方」だ。
市町村はこれまで「避難勧告」や「避難指示(緊急)」といった表現で避難を呼び掛けていた。
警戒レベルは防災や避難の情報を災害リスクに応じて整理し、実際にとるべき行動を住民に
分かりやすく伝えるのが狙いとなる。

5段階で行動
警戒レベル「1」では最新の気象情報に注意して、災害の心がまえを高める。
「2」は洪水・大雨注意報に相当し、避難場所やルートの確認をする準備行動の目安となる。
警戒レベル「3」以上は、市町村の避難情報に注意が必要だ。
市町村が発令する避難準備・高齢者避難開始は「3」に当たり、このタイミングで高齢者や障害の
ある人などが避難を始める。その他の人は避難の準備に取り掛かる。
「4」は防災情報の氾濫危険情報や土砂災害警戒情報に相当し、災害の危険性が高まっている状態。
市町村が避難勧告や避難指示(緊急)を発令したら、対象地域の住人は全員避難する。
「5」は大雨特別警報や氾濫発生情報に相当し、土砂崩れや河川の氾濫などの災害が発生している
段階。家屋に浸水した場合は高い場所に逃げるなど、命を守る最善の行動を自ら判断する。

9月以降も注意
 警戒レベルに表示は、気象庁と市町村で性質が異なる点にも注意したい。
気象庁は従来の大雨、氾濫、土砂災害の情報に基づく「災害の危険性」を警戒レベルで示す。
自治体は避難情報に応じた「避難行動」を警戒レベルで伝える。
このため気象庁が警戒レベル「4」相当の防災気象情報を出しても、自治体が同時期に避難情報を
発令しないことも起こり得る。
 近年は、異常気象の影響で、局地的な豪雨や土砂崩れが全国各地で多発している。
災害発生から被害拡大までのスピードが速いのも特徴だ。警戒レベル「1~2」から一気に
「4」や「5」に引き上がる可能性もあり、油断できない。
 警戒レベル導入後、県内では6月下旬と7月下旬の集中豪雨で避難が必要な警戒レベル「4」が
呼び掛けられた。9月以降も台風による豪雨被害に警戒が必要。自治体の防災ラジオやツイッター
など情報収集の手段を事前に確認して、いざという時は素早い避難行動を心がけたい。

       (上毛新聞 防災特集より 引用)