今、この百日咳の患者が増え続けている。私たちはどう対策を取ればいいのか?
国立感染症研究所が毎週火曜日に発表している内容によると、百日咳の患者の報告数は、7月29日から8月4日までの1週間で231人。今年の累積報告数は1万110人に達している。18年は暫定値で1万1190人。
「百日咳が恐ろしいのは、母親からの免疫が十分ではない乳児が感染した場合、死亡するリスクがあることです。大人では命にかかわることはありませんが、乳児や子どもへの感染を考えると、もしかしてと思ったら早い段階での医療機関の受診が望ましいです。」

■咳が出始めてから3週間ほどで菌を排出
 百日咳は一般的に、百日咳菌への感染し感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染および接触感染です。感染力はインフルエンザの5倍ともいわれ、マスクで予防、または感染拡大を防ぐのはどう考えても困難です。
最初は普通の風邪と見分けがつきませんが次第に咳の回数が増えて、ひどくなってきます。2~3週間くらいすると、息を吸う時にヒューヒューという音が出て、短い咳が断続的に起こります。夜間の方が症状が強く出やすい。熱はなく、あっても微熱程度です。
 ただし、必ずしも典型的な症状として出てくるとは限りません。乳児では咳はほとんどなく、息を止めているような無呼吸発作から始まり、チアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進むこともあり、合併症として肺炎、脳症もあります。
また、大人では咳は長く続くものの、それほどひどい状況にならないケースが珍しくないです。数週間で回復に向かい、百日咳を起こしている本人は日常生活に支障がないが、前述の通り、乳児や子どもへうつす可能性があります。大人の長引く咳では、「咳喘息」と間違えられやすいので医療機関で医師に「百日咳ではないのか」と確認しましょう。親がどこかで感染してきて、適切な診察・治療を受けずにいたために、子どもにうつしてしまう。夏休みが明けて子どもが学校に登校し始め、今度は同級生に感染させる……。こんな事態はなんとしても避けたいものです。
 2016年から百日咳菌に対する抗体を測定する検査キットが健康保険適用となっているので、乳児・子ども・大人も長引く咳があれば症状の程度は関係なく、百日咳の有無を調べた方がいいでしょう。患者からの百日咳菌の排出は、咳が出始めてから3週間ほど持続します。しかし生後6カ月以上の患者に用いられる百日咳の治療薬、マクロライド系抗菌薬を服用すれば、5日くらいで他人へうつさないようになります。
 なお、百日咳と判明したら、「特有の咳が消えるまで」あるいは「抗菌薬の5日間の治療が終了するまで」、子どもの場合は出席停止。周囲への影響を考えると、大人も出社を控えるべきでしょう。

(ヘルスケアより引用)