夏になるとよく風邪をひく、咳がいつまでも出る、もしそのような症状が続いたら夏型肺炎(夏型過敏性肺炎)かもしれません。風邪とよく似た症状なので、ほとんどの人はたいした病気と思わず、放置してしまい、病院でも風邪と診断され、抗生物質などで一時的に症状が改善されるので、治ったように思われます。ところが翌年の夏近くになると、また咳が出始めるのです。こうしたパターンを数年くり返すうち、慢性化して肺の機能が次第に弱り、ちょっとしたことで息切れを起こすようになります。さらに悪化すると肺が委縮し、酸素交換がうまくできなくなって息苦しくなり、時には呼吸不全から危険な状態になりかねません。夏型肺炎は、アレルギーによる過敏性肺炎の一つです。過敏性肺炎には何十種類ものタイプがありますが、その4分の3を占めるのが夏型肺炎で、原因は室内のカビの1種(トリコスポリン)です。発症すると、このカビの胞子を吸い込むたびに、咳などの症状が繰り返し起こるのです。初めて夏型肺炎を発症した人は、夏の終わり頃に咳や熱(38度前後)が出やすい傾向がみられます。慢性化すると、熱は微熱程度で、咳だけが残るケースも多く、ぜんそくと間違えることもあります。夏になると毎年風邪をひく、咳が出るという人は、一度きちんと調べてもらったほうがいいでしょう。
〈カビの除去と掃除で予防を〉
水洗いできる場所は、通常のカビとり剤などで除去し、乾いてから消毒用アルコールを塗っておくと、カビが生えにくくなります。
キッチンや洗面所などの水回りは、カビを除去したら、日ごろから水はねをふき取り、湿気を防ぐことが大切です。
バスルームは、入浴後に壁などの湿気をふき取るだけで、カビの発生をおさえることができます。
カーテンに隠れた窓辺も、カビが発生しやすいので、ホコリや汚れをためないように、こまめに掃除します。
エアコンも掃除し、季節の変わり目でしばらく使わない時は、最後の日に送風運転などで内部を乾燥させると、カビが生えにくくなります。
またエアコンをつけている時は窓を開けない人が多いのですが、エアコンは室内の空気を循環させているだけなので、換気にはなりません。
ときどき窓を開けて風を通し、カビの胞子などを外に出すことも大切です。
咳がひどく出る人は、夏型肺炎がすでに慢性化して、肺機能が弱っている可能性があります。早めに受診し、検査を受けるようにしましょう。特にタバコを吸う人の場合は、夏型肺炎の悪化が早い傾向があるので、禁煙することが大切です。

           (www.healthcare.omron.co.jpより引用)