ピロリ菌は、胃の中に生息する細菌です。感染は子供のころ、だいたい中学生くらいまでに成立し、そのほとんどは除菌しない限り胃の中に棲み続けます。ピロリ菌に感染すると胃の中に炎症が起きますが、感染した時点で自覚症状はありません。ピロリ菌は、5~10年という時間をかけて炎症を進行させ、胃の細胞を萎縮させて正常な働きを弱めることによって、少しずつ病気の発生要因を作っていきます。感染から何らかの疾患を発症するまでの期間は人によって異なりますが、だいたい30~40代で慢性胃炎になって、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどに進行していくという流れが一般的だと思います。胃がんの9割以上はピロリ菌感染が原因です。

何が原因で感染するのでしょう。また、大人になってから感染することもあるのでしょうか。
ピロリ菌の感染には衛生環境が大きく関わっていて、昔は井戸水に起因する経口感染が多くを占めていました。井戸水の直接的な摂取だけでなく、ピロリ菌に感染した大人が子供に口移しで食べ物を与えることによって感染が拡大したと考えられています。現在の30~40代の感染者の大部分は、口移しが原因です。衛生環境が大幅に改善した今、若年層の感染は減少傾向にあるものの、30~40代で15~20%、50代以降になるとぐっと感染率が上がって50%ほどが感染しているといわれています。ただ、基本的に大人になってからの感染はありません。発展途上国で長く生活していて、水から感染したというケースを診たことはありますが、非常にまれだといっていいでしょう。このことから、最もピロリ菌の感染を疑いやすい所見は「家族歴」です。家族の中に胃がんの方がいる、ピロリ菌を除菌した人がいるという場合は、早い段階での検査をおすすめします。

除菌の成功率は1回目でおよそ8割、2回目で9割
検査が陽性だった場合、除菌に移ります。1回目の除菌で、およそ8割の人が除菌に成功します。除菌しきれなかった方についても、抗生物質の種類を変えて二次除菌を行えば、成功率は9割まで上がります。一般的なお薬と同じように、アレルギー症状が出る可能性はありますが、大きな副作用はありません。ただ、腸内細菌のバランスが崩れるので、下痢をする人はいらっしゃいます。
除菌が成功した後には、胃が元気になったことによって逆流性食道炎のような胃酸、胸やけの症状を訴える方もいます。ただ、これは一時的な症状ですので、心配する必要はありません。もしつらいようなら、胃酸抑制剤を処方してもらいましょう。

ピロリ菌の除菌後は定期検診で胃がんのリスクに備える
現在の日本の環境では、一度除菌したピロリ菌に再感染する可能性はほぼありません。除菌が成功したかどうかという判定さえきちんとなされていれば、心配はいりません。除菌によって胃がんのリスクは下がりますが、元々ピロリ菌に感染していない人に比べると、高いです。年に1度の定期検診を忘れずに受診し、検診の際にはできるだけ胃カメラも選択するようにしてください。

(ILACY愛らしい 引用)