がん細胞だけを破壊するように遺伝子を組み換えたウイルスを使い、皮膚がんを治す治療法の医師主導の治験(臨床試験)を今月にも始めると、東京大と信州大が発表した。
がん免疫治療薬オプジーボを合わせて使った効果も調べる。
約5年後の製品化を目指しており、皮膚がん治療の選択肢が広がると期待される。
東大医科学研究所の藤堂具紀教授(脳腫瘍外科)や信大の奥山隆平教授(皮膚科)らは、口の周りなどに水泡を作るヘルペスウイルスの遺伝子を組み換え、がん細胞の中だけで増え、がん細胞を破壊するウイルスを発表、正常な細胞は傷つけないように工夫した。
治験は、皮膚がんの一種、悪性黒色腫(メラノーマ)の患者計24人を対象に、同研究所と信大の2病院で行う予定だ。治験に参加する患者を募集している。
第1段階では、2週間おきに2回または4回、開発したウイルスを注射器で投与し、効果や副作用を確かめる。ウイルスは免疫細胞を呼び寄せ、免疫細胞のがんに対する攻撃力を高める働きも持っている。
第2段階では、ウイルスに加え、がんに対する免疫細胞の働きを高める薬のオプジーボと一緒に使い、効果を検証する。研究チームは、ウイルスとオプジーボの相乗効果に期待しており、他のがんの治療にも応用できるとみている。

(yomi dr より)